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2011 Fiscal Year Research-status Report

官能基を考慮したナノカーボン強化複合材料の機械特性の多次元的相関性の解明

Research Project

Project/Area Number 23760648
Research InstitutionFukushima University

Principal Investigator

中村 和正  福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90433870)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords複合材料・物性 / 表面・界面物性 / 解析・評価 / 機械材料・材料力学 / 材料加工・処理
Research Abstract

ナノカーボンを強化材として用いた複合材料は、将来、産業基盤となる構造材料として有望視されている。このナノカーボン強化複合材料を作製する上で、ナノカーボンの分散性・配向性・添加量が問題となっている。これらの問題を解決せずに材料評価を行っている研究が散見される。そこで、本研究では、これら問題点を解決し、官能基を考慮したナノカーボン強化複合材料を作製し、ナノからマクロの材料評価に対し多次元的相関性を解明し、実用化への指針を示すことを目的としている。平成23年度は、カーボンナノファイバーを用いて強化プラスチックを作製し、基本的な機械測定を行った。また、各種酸処理により炭素材料表面に結合する官能基について調査した。3wt.%のカーボンナノファイバーを複合化したプラスチックは、三点曲げ試験によるヤング率において単味のプラスチックよりも約1.5倍強度を示した。これによりカーボンナノファイバーが強化材として有効であることが分かった。一方、分散性を考慮するためには、より低添加量で試験を行う必要があることが分かった。また、酸処理により炭素材料表面に結合する官能基については、硫酸処理では、表面には硫黄原子を含む官能基が検出され、それらが主たる官能基となった。硝酸処理では、表面に窒素を含む官能基は検出されず、各含酸素官能基では炭素-酸素単結合が徐々に二重結合に変わっていき、主たる官能基となった。過酸化水素水処理では、炭素-酸素単結合が主たる官能基となった。これらの酸処理による官能基の種類や量は、処理温度70℃において処理日数2日間でほぼ飽和するため、酸処理は70℃で2日間が妥当であることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ナノカーボン強化プラスチックやナノカーボン強化炭素の作製において、問題となっているのが、ナノカーボンの分散性・配向性・最適な添加量である。まず、カーボンナノファイバーを添加することにより力学特性が増加することが分かった。カーボンナノファイバーの分散性については、カーボンナノファイバーは超音波照射によりマトリックス前駆体の液体に対しマクロ的に分散させることができた。しかし、カーボンナノファイバーがマトリックスに対し嵩高くなってしまったためナノレベルの分散性や均一性は確認できなかった。したがって、カーボンナノファイバーの添加量は、3wt.%以下で、1wt.%程度がより妥当であることが分かった。配向性についてはドクターブレード法による有効性を現在確認している。カーボンナノファイバーの表面処理による官能基の導入に関して、種類と量も精査できたので、その条件(70℃で2日間)で処理することにより、特定の種類と量の官能基を導入でき、次年度の官能基を考慮したカーボンナノファイバー強化複合材料の作製ができる見通しがついた。

Strategy for Future Research Activity

ナノカーボン添加による複合材料の硬さや摩擦・摩耗の変化については、ナノ領域の特性が、マクロ領域の特性に大きく影響するにもかかわらず、ナノあるいはマクロレベルに対し、それぞれ個々の研究に終始し十分な成果が得られていない。加えて、ナノからマクロ領域の特性の相関性についての研究は皆無である。そこで、平成23年度に得られた結果を基にして、カーボンナノファイバーの適切な添加量と官能基の導入方法が精査できたので、それに沿ったかーボナノファイバー強化プラスチックおよび炭素材料を作製し、強度や摩擦特性をナノからマクロ領域にいたる幅広い領域で総合的に明らかにする。まず、ナノレベルの分散性や均一性を電子顕微鏡にて確認する。官能基の導入による強度の変化を主に、三点曲げによるヤング率を評価法とする。また、ナノとマクロ摩擦の相関性の比較として、マクロ測定はピンオンディスク方式、ナノ測定は摩擦力顕微鏡で行う。必要に応じて、添加前のナノファイバー表面やマトリックスとナノファイバー界面の官能基の変化についてはX線光電子分光法により調査し、考察に生かす。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度の研究を通し、11,373円の「次年度使用額」として計上してしまった。これは年度末の試薬や消耗品の不足など不測の事態に対応するためであった。この「次年度使用額」は試薬や消耗品として平成24年度に継続して利用する。また、全体の配分としては、比較的高額な試薬や物品は揃ったので、物品費を相対的に減らす予定である。その上で、平成24年度の「今後の推進方策」が円滑に進めば、年度後半には進捗報告が学会等で積極的にできるため、旅費の計上を相対的に増やす予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Surface oxidation and/or corrosion behaviour of glass-like carbon in sulfuric and nitric acids, and in aqueous hydrogen peroxide2011

    • Author(s)
      K. Nakamura, H. Morooka, Y. Tanabe, E. Yasuda, T. Akatsu, H. Shindo
    • Journal Title

      Corrosion Science

      Volume: 53 Pages: 4010-4013

    • DOI

      10.1016/j.corsci.2011.08.004

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ガラス状炭素の高温処理による硝酸および硫酸に対する耐酸化性の向上2011

    • Author(s)
      中村和正、田邊靖博、赤津隆、安田榮一
    • Organizer
      平成23年度日本セラミックス協会東北北海道支部研究発表会 第31回基礎科学部会東北北海道支部地区懇話会
    • Place of Presentation
      日本大学工学部(郡山)
    • Year and Date
      2011年10月28日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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