2012 Fiscal Year Research-status Report
官能基を考慮したナノカーボン強化複合材料の機械特性の多次元的相関性の解明
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23760648
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
中村 和正 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90433870)
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Keywords | 複合材料・物性 / 表面・界面物性 / 解析・評価 / 機械材料・材料力学 / 材料加工・処理 |
Research Abstract |
ナノカーボンの実用部材への適用をするために、官能基を導入したカーボンナノファイバー(以下、CNFとする)を用いたCNF強化複合材料を作製し、ナノ領域からマクロ領域での摩擦摩耗特性における相関性の知見を得ることを目指している。 昨年度の結果から、CNFを用いて作製したCNF強化複合材料の力学試験により、CNFの複合化が材料の機械強度の向上に有効であることが分かった。また、溶液処理により複数の異なった官能基がCNF表面に導入できることも分かった。これらの結果を合わせ、溶液処理により官能基を導入したCNFを用いて作製したCNF強化複合材料に対して、摩擦摩耗試験を行うことによりCNFの複合化ならびに官能基導入の効果について検討した。 硫酸、硝酸、過酸化水素水で処理をしたCNFをマトリックスであるガラス状炭素の前駆体の重量に対し、1 wt.%添加することによりCNF強化複合材料の供試体を準備した。摩擦摩耗試験は、ピンオンドラム式摩擦摩耗試験機で計測し、動摩擦係数および比摩耗量を算出した。その結果、官能基を導入したCNFを用いて作製したCNF強化複合材料の初期の動摩擦係数は、単味およびマトリックスであるガラス状炭素のそれらよりも低下した。特に、硫酸処理したCNFで用いて作製したそれに対して、顕著であった。SEM観察より、初期のCNFの引き抜けの量が潤滑に関係していることが示唆された。さらに、官能基を導入したCNFを用いて作製したCNF強化複合材料の比摩耗量も、単味およびマトリックスであるガラス状炭素のそれらよりも低下した。SEM観察より、引き抜けたCNFの保護効果ならびにマトリックス中のCNFが残存することにより、供試体自体の摩耗を防いだためであると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のCNFを用いて作製したCNF強化複合材料の機械強度の向上とCNFの添加量および表面処理の各条件の検討した結果を踏まえることで、円滑にCNF強化複合材料の摩擦摩耗試験が行えた。また、昨年度のCNFの溶液処理に対する知見を基に、学会発表も行った。特に、各条件を固定しCNF強化複合材料の摩擦摩耗試験を行うことで、CNF表面への官能基導入の効果を適切に調査することができた。これらの結果を踏まえ、官能基を導入したCNFの添加量を変化させ、昨年度末より実験を行っている。これらの結果は、学会発表に堪える知見が得られており、それを基に今年度中に論文誌に投稿できる可能性も高い。さらに、CNFの溶液処理に関しても、今年度中に論文誌に投稿する予定である。その上で、同時並行で行っているナノ領域の摩擦試験の準備も整っており、供試体ができ次第、実験を行う予定である。これらにより、CNF強化複合材料のナノ領域からマクロ領域までの摩擦摩耗特性のおける相関性の知見を得るための見通しがついてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
CNF強化複合材料は、産業利用を見据えているにもかかわらず、その摩擦摩耗特性が十分理解されておらず、その特性向上の試みが十分とは言えない。また、CNF強化複合材料のナノ領域の摩擦特性が、マクロ領域に対してどのような影響を与えるかの相関性に関する知見が得られていない。そこで、昨年度および一昨年度得られた結果を基に、CNF表面への官能基の導入が複合材料の摩擦摩耗特性に与える効果に加え、その官能基とCNFの添加量についての検討を行う。つまり、官能基を導入したCNFの添加量を変化させCNF強化複合材料を作製し、摩擦摩耗特性の調査を行う。また、摩擦力顕微鏡にてナノ領域の摩擦特性を調査することにより、前述のマクロ領域の摩擦摩耗特性との相関性も考察する。さらに、バイオマスを由来としたナノファイバーに関しても、ナノファイバー強化複合材料を作製し、これまでに作製したCNF強化複合材料の摩擦摩耗特性と比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究を通し、6円ほど残予算が出たが、これは最終的な調整が間に合わなかったためである。その他は、適切に予算が執行できたと考えられる。平成25年度は、物品費および旅費を中心に予算を計上し執行する予定である。物品費は大型の機器などはほぼ揃っているので、試薬や消耗品を中心に使用する予定ある。また、研究に進捗がみられているので、積極的に、学会発表を行うための旅費として使用する経費も相対的に多く計上する予定である。現在の所、学会発表は3箇所で5件以上計画している。
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Research Products
(2 results)