2013 Fiscal Year Annual Research Report
チタン合金を用いたハイブリッド化による複合材ボルト接合構造の比強度と信頼性の改善
Project/Area Number |
23760650
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中谷 隼人 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90584417)
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Keywords | 複合材料 / ファイバメタル積層材 / チタン / CFRP / ボルト接合 / 面圧強度 / 繊維微小座屈 / 光ファイバセンサ |
Research Abstract |
比較的低荷重で損傷が発生する炭素繊維複合材ボルト接合部に,より優れた構造安定性を付与するため,ボルト接合部周辺のみチタンを用いたハイブリッド構造とし,接合部の強度や損傷挙動の改善をねらう. 擬似等方積層板[45/0/-45/90]2Sのボルトによる面圧負荷下においては板厚方向外側0°層よりも中央寄0°層の応力が高くなることを有限要素法により示した.この0°層をチタン薄膜で挟み込みハイブリッド化することで,0°層の圧縮応力が低下し,また0°層での損傷発生後もチタンに隣接するCFRP層のせん断応力も小さく維持されることを明らかにした.これより,ハイブリッド化により繊維微小座屈の発生とその後の損傷進展が抑制されるという実験結果を説明した. チタン薄膜とCFRPの界面における破壊靱性に方向依存性があることを新たに明らかにし,前年度まで評価を続けてきた遷移領域(ハイブリッド部からCFRP単体へとチタン含有割合が変化する領域)の引張強度と損傷挙動の関係を考察した. 初期損傷である繊維微小座屈発生の検知を目的とし,光ファイバセンサの一種であるFBGセンサを埋め込み,センサからの反射光のスペクトル変化を取得した.初期損傷発生を示す荷重値の変化と,反射光スペクトルの特定の変化が同時に発生することを示した.これより,面圧負荷下で発生する繊維微小座屈が光ファイバセンサにより検知可能であることを示した. 研究期間全体として,チタンを用いたハイブリッド化による炭素繊維複合材ボルト接合強度の改善と,ハイブリッド積層構造の最適化に基づいた損傷発生・進展抑制による信頼性の確保が実現できることを示した.同時にボルト部周辺への局所的適用を見込んだ遷移領域を含む評価,有限要素解析,および光ファイバセンサを用いたヘルスモニタリング等の多角的な評価により,このハイブリッド構造の有効性・適用性を示すに至った.
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