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2011 Fiscal Year Research-status Report

スピンゼーベック効果を利用した次世代熱電発電デバイスの基礎検討

Research Project

Project/Area Number 23760657
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

林 慶  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70360625)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords熱電変換 / スピンゼーベック効果
Research Abstract

エネルギー資源の有効利用と環境問題の観点から、熱電発電による排熱の再利用が検討されている。しかし、ゼーベック効果を利用した熱電発電デバイスに現在用いられている材料は毒性を含み高価なため、限定的な使用に留まっている。申請者はスピンゼーベック効果を利用した熱電発電に注目した。本研究の目的は、高いスピンゼーベック効果を示す材料の開発に資する普遍的な指導原理の確立である。本年度はパーマロイ薄膜の単結晶薄膜を作製するとともに、スピンゼーベック効果測定装置を構築して、作製した薄膜のスピンゼーベック効果を測定することを試みた。得られた成果は以下の通りである。(1) パルスレーザー堆積法により、R面サファイア基板上に(111)配向したNi84Fe16単結晶薄膜を成膜することに成功した。(2) パルスレーザー堆積法により、Ni84Fe16薄膜上(厚さ20nm)にPt薄膜厚さ(15nm)を成膜したが、パーマロイ薄膜の表面にドロップレットが存在したため、一部不連続なPt薄膜となってしまった。(3) 横型スピンゼーベック装置に加え、縦型スピンゼーベック装置を構築した。(4) Ni84Fe16薄膜の両端(薄膜面内方向)に10Kの温度差を与えて磁場を±50Oeで変化させたところ、高温側と低温側で逆符号の電圧が生じることを確認できた。(5) スピンゼーベック効果によってPt薄膜の両端に生じた電圧は、高温側で-1μVであったのに対し低温側では+0.02μVに過ぎなかった。これはスピンゼーベック効果に異常ネルンスト効果が重畳されたためと考えられる。また電圧の絶対値は過去の文献の1/2以下であった。特に(5)の結果から、スピンゼーベック効果を精確に測定するためには、薄膜垂直方向に温度差がつかないようにすることと薄膜表面を平坦にしてPtとの界面を急峻にすることが必要であることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Ni1-xFex単結晶薄膜のスピンゼーベック効果の変化を調査するまでには至らなかったが、Ni84Fe16薄膜の単結晶薄膜の作製、スピンゼーベック効果測定装置の構築、作製した薄膜のスピンゼーベック効果の測定ができたことから、おおむね順調に遂行できている。Ni84Fe16薄膜の作製条件は組成の異なるパーマロイ薄膜にも適用可能であるため、Ni1-xFex単結晶薄膜のスピンゼーベック効果の変化については、今後の直近に調査可能である。

Strategy for Future Research Activity

今後の計画は以下の通りである。(1) Ni1-xFex単結晶薄膜のスピンゼーベック効果の変化(2) フルホイスラー化合物Co2(Cr1-xFex)AlとCo2(Cr1-xMnx)Alの単結晶薄膜で大きなスピン流が得られるか検証する。本申請を提案した当初は、スピンゼーベック効果の起源は伝導電子スピン流ではないかと考えられていたため、電子状態とスピンゼーベック効果との関連性を明らかにすることを計画していた。最近の研究では、伝導電子スピン流に加えて、フォノンやマグノンがスピンゼーベック効果に寄与していると言われている。したがって、今後の方策として、電子状態だけでなく、薄膜と基板とのフォノンマッチングやスピン波について考察しながら、スピンゼーベック効果の支配要因を解明していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

Co2CrAl系薄膜を作製するためのターゲット用として、Co粉末、Cr粉末、Mn粉末、Fe粉末Al粉末を購入する。また、成膜基板としてMgO基板を購入する。その他、研究成果を報告するために学会参加旅費と論文投稿費および別刷り代金として使用する。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Spin Seebeck effect in Ni1-xFex thin films2011

    • Author(s)
      M. Tabata, K. Hayashi, Y. Miyazaki, and T. Kajitani
    • Organizer
      Joint seminar CNRS (France)-JSPS (Japan) (Nobember 9-10, 2011, Nagoya, Japan)
    • Place of Presentation
      名古屋
    • Year and Date
      2011年11月9,10日
  • [Presentation] Observation of spin-Seebeck effect via Co2CrAl/Pt set-up2011

    • Author(s)
      M. Kuroda, K. Hayashi, Y. Miyazaki, and T. Kajitani
    • Organizer
      Joint seminar CNRS (France)-JSPS (Japan) (Nobember 9-10, 2011, Nagoya, Japan)
    • Place of Presentation
      名古屋
    • Year and Date
      2011年11月9,10日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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