2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピンゼーベック効果を利用した次世代熱電発電デバイスの基礎検討
Project/Area Number |
23760657
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 慶 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70360625)
|
Keywords | 熱電変換 / スピンゼーベック効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高いスピンゼーベック効果を示す材料の開発に資する普遍的な指導原理の確立である。スピンゼーベック効果を利用した熱電発電は、エネルギー資源の有効利用と環境問題の観点から注目されている。従来のゼーベック効果を利用した熱電発電と異なり、電気伝導経路と熱伝導経路を分離できることから、高いスピンゼーベック電圧が得られれば、熱電変換効率の飛躍的な向上が実現できる。本年度はCo2CrAl系のハーフメタルのバルクおよび薄膜を作製して、スピンゼーベック効果の測定を試みた。 得られた成果は以下の通りである。(1) 合成したCo2CrAlのバルクはL21構造ではなかったが、80%の高い規則度をもつB2構造であり、飽和磁化は先行研究よりも高くなった。(2) Co2CrAlバルクにPtを積層して、縦型スピンゼーベック効果測定を行ったところ、ネルンスト電圧が観測された。(3) パルスレーザー堆積法により、MgO(001)基板上にCo2CrAl、Co2(Cr,Fe)Al、Co2(Cr,Mn)Alの多結晶薄膜(B2構造+A2構造)を成膜することに成功した。(4) Co2CrAl系薄膜の飽和磁化は、FeあるいはMn部分置換により増加した。(5) Co2CrAl系薄膜にPt薄膜を成膜し、横型スピンゼーベック効果測定を行ったところ、Pt両端に生じる電圧には-60Oe~60Oeの範囲で明確なヒステリシスが現れた。(6) 観測された電圧はCo2CrAlで最も大きく、6.1uV/Kであった。(7) FeあるいはMn部分置換によりPt両端の電圧は減少することがわかった。 以上の結果は、飽和磁化が小さいほどスピンゼーベック効果が大きくなることを示唆しているが、Co2CrAl系薄膜で観測された電圧が異常ネルンスト効果による可能性がないとは言えず、今後さらに検討する必要がある。
|
Research Products
(1 results)