2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素系錯体水素化物の基礎研究―水素放出・再吸蔵反応の機構解明と促進
Project/Area Number |
23760658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 海文 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40400410)
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Keywords | 水素 / 水素化物 / 錯体系水素化物 / 水素貯蔵 |
Research Abstract |
高密度水素を含有するホウ素系錯体水素化物M(BH4)n (M = Mg, Ca)を合成して、水素放出・再吸蔵反応の挙動およびそれに伴う中間相の生成を検討した。 Mg(BH4)2を真空下623 Kで水素放出させると、主な生成物はMgと中間相MgB12H12であった。水素放出した試料に対して、処理温度を473~773 Kに変えて再吸蔵処理(40 MPaH2, 12 h)を行った。熱重量分析の結果から、処理温度の増加とともに水素再吸蔵量も増加し、673 K付近で最大値の7.6 mass%(約50%のMg(BH4)2の水素貯蔵量に相当する)となることが確認された。11BのMAS-NMR測定の結果から、処理温度が473 Kから 673 Kまで上昇すると伴いMg(BH4)2の生成量の増加が確認された。一方、773 Kで再吸蔵処理した試料ではMg(BH4)2に帰属できるピークは消失し、MgB2が確認された。これらの結果から、673 K以下では処理温度の上昇にともない、再吸蔵反応が速度論的に促進されるために再水素化量が顕著に増加する。一方、処理温度が700 K を超える場合には、再水素化した試料が熱力学的に不安定となり逆に再水素化量は減少することが示唆される。 Ca(BH4)2を真空下743 Kで水素放出させると、主な生成物はCaH2とCaB6であった。得られた試料を673 Kで再吸蔵処理(40 MPaH2, 12 h)を行った結果、ほぼ単相のCa(BH4)2の生成が粉末X線回折と核磁気共鳴分析により確認された。熱重量分析の結果から、再吸蔵処理により90%以上のCa(BH4)2の生成が確認され、Mg(BH4)2より良好な水素再吸蔵特性を示した。 以上の結果から、水素放出過程を制御して安定な中間相(例えばMgB12H12)の生成を抑制できればより良好な水素再吸蔵特性が期待できると示唆される。
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Research Products
(12 results)