2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 真也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70396927)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / ナノシート / 酸化チタン / 光アシスト / 光電気化学 |
Research Abstract |
チタン酸ナノシート積層薄膜への紫外線照射下におけるリチウムの挿入脱離を評価し光誘起反応の詳細を検討した。リチウム挿入反応時(放電時)には紫外線照射の有無によって容量はほとんど変化しなかった。一方でリチウム脱離反応時(充電時)には紫外線照射下の方が暗所よりも大きな容量を示し、また充電後により高い電位を示した。これらの結果から紫外線照射下では光電気化学的な酸化反応が起こっていることを初めて明らかにした。種々の電流密度で光電気化学酸化反応の詳細を検討した結果、(1)式のように表される反応が起こっていることが示唆された。この式は紫外線照射によって誘起された正孔の酸化力によって自身が酸化されるというものである。LixTiO2 + hν → LixTiO2* (h・ + e’) → TiO2 + Li+ + e- (1)LixTiO2 → TiO2 + Li+ + e- (2)紫外線照射下でのリチウム脱離反応時には(2)式で示される通常の電気化学酸化反応と同時に(1)式で表される光電気化学酸化反応が同時に起こることによって、大きな容量を示し、またより多くのリチウムイオンが脱離する。さらに照射する紫外線の強度を変化させて紫外線照射による影響を評価したところ、観察された光電気化学酸化反応の速度は紫外線強度にほとんど依存しなかった。このことから(1)式で示される反応は表面での反応が反応全体を律速していることが予想された。以上のように光電気化学的な酸化反応が起こっていること、及びそれによってリチウムイオン二次電池電極としての特性が向上することを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RFスパッタによって得たLiNi0.8Co0.2O2-d薄膜が電気化学的な活性をほとんど示さず、光照射下測定に耐えうるLiNi0.8Co0.2O2薄膜がまだ得られていない。また、照射する紫外線の強度を制御可能な測定系の構築に時間を要したため、アナターゼ型酸化チタンナノ粒子からなる薄膜での測定にとりかかれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
LiNi0.8Co0.2O2薄膜はPLD法による成膜を試みる。成膜装置は東京大学所有の装置を借用することができる。また、光電気化学反応が表面律速であることが予想されることから、同時に表面積の大きなナノ粒子からなる薄膜が得られるようなゾルゲル法を用いた成膜ついても調査・検討を行う。またアナターゼ型酸化チタンナノ粒子からなる薄膜でこれまでと同様な評価を行うことで、観察された光電気化学酸化反応の詳細を明らかにすると共に、その現象を顕著に観察できるような電極について検討しその合成を行う。さらにこれらの知見を生かした電極を作成しそれを用いた光アシスト蓄電池の実現を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費は、年度末の国内出張の予定が急に変更になったため生じたものである。繰り越された研究費については、光電気化学酸化反応を観察するのに最適な電極構造を明らかにするための依頼測定(透過電顕など)に用いる予定である。それ以外の研究費の使用については消耗品(64万)、成果発表の旅費(国内外;47万)、謝金(36万)、論文投稿料(22万)という当初の予定通り使用する予定である。
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Research Products
(2 results)