2011 Fiscal Year Research-status Report
相分離・粘弾性を利用した熱刺激応答材料の設計指針に関する研究
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23760663
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
植松 英之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80536201)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | レオロジー |
Research Abstract |
本研究では、高分子マトリクスの相分離と粘弾性が無機材料の分散性に及ぼす影響について明確にして、相分離と粘弾性を利用した熱刺激応答材料の設計指針を得ることが目標である。具体的には、ICチップの積層化に用いられる接着フィルムにおける無機粒子の分散構造の形成メカニズムについて詳細に検討し、全く違った材料系(塗料、インク、ナノコンポジット)に応用することで、高分子マトリクスの相分離構造や粘弾性による無機粒子の分散制御手法を確立することが目的である。初年度となる平成23年度ではマトリクスの相溶性がシリカ粒子の分散性に及ぼす影響を検討した。アクリル高分子(AP)、エポキシ(低分子エポキシ(L-epo)、オリゴマーエポキシ(H-epo))、シリカ粒子を用いて行った。AP/L-epo系、AP/H-epo系はそれぞれ相溶系、非相溶系であり、それぞれにシリカを添加した結果、前者はゾル挙動、後者はゲル挙動を示した。言い換えると前者ではシリカ粒子が均一に分散するが、後者では数珠繋ぎ構造を形成した。またAP/L-epo+H-epoをマトリクスとして粒子を添加した結果、温度によってゾル-ゲル転移を示した。つまり、マトリクスの相分離を利用することによって熱刺激応答材料が設計できることが示唆された。23年度検討予定であった2成分系についても現在進行中であり、熱刺激応答性のメカニズムが明らかになりつつある。従って、申請当初の計画・目標通り、マトリクスの相溶性によってシリカの分散性を制御できることが示唆されたため、新しい無機粒子の分散法となりえる可能性がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた内容について検討しており結果が出ているため、昨年度目標していたことがほぼ達成できた。昨年度から行っている内容については現在も進行中であるため達成度70%と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度から行っている2成分系(モデル系)での検討を継続するとともに、マトリクスの粘弾性がシリカ粒子の分散性へ及ぼす影響について検討し、熱刺激応答性の発現メカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度末に購入を予定していた材料を調整するために必要なフィルム基材の最適化と入手先との価格協議を済ませて平成24年度に執行する予定である。平成23年度に得た結果を学会等を通して発信し情報交換を行うとともに、実験に必要な物品や消耗品を購入しながら研究を推進する。
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Research Products
(2 results)