2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760664
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 尚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402649)
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Keywords | 相変態 / 巨大ひずみ / 鉄鋼材料 / ショットピーニング / EBSD / 結晶粒微細化 |
Research Abstract |
本研究は,Fe-Ni合金へのショットピーニング加工に伴う変質層の形成機構および加工表面近傍に生じる相変態挙動について明らかにすることを目的としている.本研究では,供試材として,Fe-30wt%Ni合金およびFe-33wt%Ni合金を用いた.これらの試料は,オーステナイト化処理後,水冷に供した.また,一部の試料に対しては水冷後にサブゼロ処理を施した.その後,作製した試料にショットピーニング加工を行った. 加工を施したすべての試料において,加工表面近傍に微細な結晶粒を持つ変質層が形成していた.また,変質層直下にはせん断帯が形成されており,変質層はショットピーニングで導入された巨大なせん断ひずみにて形成することが分かった. また,ショットピーニング加工に伴う加工表面での相変態挙動を調査した.水冷材に加工を施した場合,オーステナイト相体積分率は,加工時間に伴って減少し,その後飽和した.一方,サブゼロ処理材のオーステナイト相体積分率は,加工開始直後に増加し,その後に減少して飽和する.よって,サブゼロ処理材ではショットピーニング加工に伴いマルテンサイト相からオーステナイト相への逆変態が生じることが明らかである.この飽和したオーステナイト相の体積分率は,水冷材およびサブゼロ処理材ともに同じ体積分率であり,Ni濃度,ショット圧および加工時の温度に依存していた.そこで,本研究では,この逆変態挙動の発生要因を①材料内部に導入される圧縮残留応力に起因した相変態温度の低下および②結晶粒微細化に伴うオーステナイト相の安定化の観点から検討した.その結果,加工に伴う逆変態の発生要因は②の影響が大きいことが明らかとなった.また,SUS304にて同様の実験を行った結果,SUS304においても同じ現象が生じることが分かった.以上の成果は,鉄鋼材料の表面加工において学術的・工業的に重要な知見であるといえる.
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Research Products
(13 results)