2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体微量金属元素としてのマグネシウムを用いた革新的な骨力学機能制御の実現
Project/Area Number |
23760669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石本 卓也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50508835)
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Keywords | 生体アパタイト / 結晶配向性 / 生体微量金属元素 / 骨力学機能 / コラーゲン |
Research Abstract |
生体微量金属元素としてのマグネシウムが骨力学機能を制御するメカニズムを、骨アパタイトの結晶配向性、結晶成長過程といった結晶材料学的立場から解明することを目的として研究を実施した。平成23年度は、in vivo(生体内:動物骨でのアパタイト配向化挙動)、in vitro(試験管内:人工的アパタイト形成挙動)実験系の両者で、マグネシウムがアパタイト配向性をその濃度依存的に制御することを見出したことから、平成24年度は、① 配向性が変化する機構のコラーゲンとのエピタキシャル関係や結晶成長挙動に着目した解明、ならびに、② 配向性の変化が骨力学機能に与える影響の解明を試みた。 SEM、TEM解析の結果、アパタイト結晶はコラーゲン線維の走行方向に伸長し、同方向に結晶学的c軸を配列することが示された。このアパタイト―コラーゲン間でのエピタキシャル関係の定量評価のため、ラマン分光法を応用し、コラーゲンの配列化度の定量化法を確立した。コラーゲン配列化度と、微小域X線回折法にて解析したアパタイトの配向度との比較により、生体微量金属元素は、コラーゲン線維方向とアパタイトc軸の一致度合すなわち、degree of epitaxyに影響することで最終的にアパタイト配向性を制御することが明らかとなった。このため、コラーゲン配列化度は同程度であっても、アパタイト配向性が異なる場合が存在する。 DMA(動的機械特性解析)法を用いて、水溶液中、非破壊でヤング率を解析すると、ヤング率は、骨密度よりもアパタイト配向度に依存して変化した。 以上より、生体微量金属元素は、コラーゲンとアパタイトのエピタキシャル関係を制御することでアパタイト配向性を制御し、最終的に骨力学機能(ヤング率)を制御することが示された。本知見に基づき、世界初の生体微量金属元素による人為的な骨配向化・力学機能化が実現すると期待される。
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