2011 Fiscal Year Research-status Report
金属ナノ粒子の光誘起増強電場を利用したナノ発光材料の高機能化
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23760673
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
鶴岡 孝章 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 講師 (20550239)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属ナノ結晶 / 半導体ナノ結晶 / 表面プラズモン共鳴 / 電場増強効果 / 蛍光増強 |
Research Abstract |
本研究では、金属ナノ結晶の電場増強効果による半導体ナノ結晶発光増強を目的としている。 昨年度はその第一歩として、界面活性剤の微小空間内における金属・半導体ナノ結晶集合体作製を行った。具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド水溶液に所定比にて混合したAuナノ結晶・CdTeナノ結晶混合クロロホルム溶液を添加することにより、ナノ結晶を界面活性剤微小空間に内包させることにより集合体を作製した。この際、CdTeナノ結晶濃度は一定とし、Auナノ結晶濃度を変化させることで、mol比の制御を行い、Auナノ結晶を1とした場合、CdTeナノ結晶が1から16となる様にクロロホルム溶液の調製を行った。透過型電子顕微鏡により集合体の観察を行ったところ、最大で50nm程度の集合体が形成しており、界面活性剤濃度を増大させると、集合体のサイズは25nmまで小さくなることが分かった。 次に得られた集合体の吸収および蛍光スペクトル測定を行い、光学特性の評価を行った。いずれの試料においてもほぼ混合比通りの集合体が得られていることが明らかとなった。蛍光スペクトル測定においては、CdTeナノ結晶のみで調製した集合体は、濃度消光のため発光しなかった。一方、Auナノ結晶と混合した試料においては興味深いことにCdTe/Auが8の試料のみが発光することが分かった。そこで、この試料の蛍光寿命測定を行ったところ、CdTeナノ結晶分散クロロホルム溶液の蛍光寿命が24nsであるのに対し、得られた集合体では16nsと減衰していることが明らかとなった。この結果より、CdTeナノ結晶内にて発生したエキシトンがAuナノ結晶へと発光性励起子として移動していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電場増強効果による発光増強は確認されたが、従来設定している有機リンカーにてナノ結晶をリンクさせサテライト構造を構築するには至っていない。Auナノ結晶のみで構築されているサテライト構造の構築には成功しているので、CdTeナノ結晶に適用し、条件の最適化を図る必要性があると考えている。これについては既にクリアされているべき段階であると評価しており、達成度として「やや遅れている」と感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、界面活性剤を用いた系においては、CdTeナノ結晶のサイズ、濃度などを変化させることにより条件の最適化を図る。これにより蛍光増強メカニズムの解析を行う。また、Agナノ結晶においても同様の検討を行う。 サテライト構造体の構築では、有機リンカーによる構築法を行う。具体的には、CdTeナノ結晶をメルカプト基修飾基板上に固定化し、その後ナノ結晶の周りをチオール分子(11-メルカプト-1-ウンデカノール)にて被覆する。次に、異なるチオール分子(11-メルカプトウンデカン酸)分散溶液中にて超音波照射をすることによりCdTeナノ結晶を基板上から剥離、11-メルカプトウンデカン酸による極点機能化を行う。この極点機能化CdTeナノ結晶を用いて、Auナノ結晶と静電相互作用によるサテライト構造の構築を目指す。 この得られたサテライト構造体の光学特性評価を行い、ナノ結晶間距離依存性などを評価し、センシングシステムへの展開に向けたデータベースの構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度においても多くの実験試薬を必要とするため、消耗品としてナノ結晶合成試薬、不活性ガス、顕微鏡用作製試料などを購入する予定である。 また、ナノ結晶合成時にロータリーエバポレーター、高温での制御が可能なオイルバスなどを物品として購入する。 さらに国内学会発表を2回、さらには論文投稿料を計上する。
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