2013 Fiscal Year Annual Research Report
フェロアロイを用いたV系水素貯蔵材料の創製と貯蔵水素の挙動の解明
Project/Area Number |
23760677
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浅野 耕太 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (30415640)
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 核磁気共鳴法 / 原子の拡散 / フェロアロイ |
Research Abstract |
V系合金は短中期的将来の燃料電池車用水素貯蔵材料としての利用が有望な材料の1つである。しかし、実用のためには低コスト化が必要である。本研究では、Vの代わりに安価なフェロバナジウムを使用すべく、V以外に含まれる元素(酸素、Al、Fe)が水素吸蔵放出性能に及ぼす影響を明らかにした。 金属Vは室温付近において、体心正方構造をもつ1水素化物相および面心立方構造をもつ2水素化物相を生成する。平成23年度は、酸素濃度が約4000 mass ppm以上になると、Vの水素吸蔵量が大幅に減少することと、1水素化物相中の水素の拡散が遅くなることを明らかにした。24年度は、その酸素による水素吸蔵量の減少は、本来純Vの場合には2水素化物相が単相で生成するような高水素圧力下でも、酸素濃度が高まると2水素化物相の他に1水素化物相に近い構造の新たな水素化物相の生成によることを明らかにした。他方、AlをVに添加すると、1水素化物相中で本来八面体サイトを占有する水素が四面体サイトにシフトすることが分かった。これにより水素の拡散は促進された。25年度は、Fe添加により2水素化物相の水素吸蔵量はAl添加の場合に比べて大きく減少することが分かった。平衡水素吸蔵圧力の変化は単純ではなく、Fe添加量5at.%程度を境に平衡圧力の変化は上昇から低下に転じた。この変化の機構は現段階では明らかでない。他方、Fe添加により1水素化物相中の水素の拡散は遅くなることが分かった。 以上をまとめると、フェロバナジウムに含まれるV以外の元素の中でも、特にFeおよび酸素が水素吸蔵量を低下させ、水素化物相中の水素の拡散速度を低下させることが分かった。フェロバナジウムは、金属AlによるV酸化物の還元反応にて精錬されることが一般的であるため、Al量を増やして酸素濃度を低減させ、材料コストに応じてFe量を調整することが、本研究の結果より提案された。
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