2011 Fiscal Year Research-status Report
フォトクロミック反応を活用した平版印刷法の開発と有機エレクトロニクスへの展開
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23760680
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
則包 恭央 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (50425740)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光相転移 / アゾベンゼン / 光異性化 |
Research Abstract |
近年、有機材料を種々の電子デバイスに活用する開発研究が行われている。これらの有機電子デバイスの特徴は、既存の無機材料ベースのデバイスよりも軽く柔軟性があり、しかも蒸着等の真空プロセスに替わって印刷技術を用いて作成でき、低コストで低環境負荷であると期待されることである。このようなデバイスの実現には、新材料の開発に加え、適した印刷プロセスの開発が求められている。現状では、既存の印刷技術の延長線上の技術が多く提案されているが、これらは必ずしも最適な方法とは言えない。そこで本研究課題では、有機電子デバイスを印刷プロセスによって簡便に作製するために、フォトクロミック反応を活用した新しい印刷方法を開発する。そのための基盤技術として、光応答性のインク材料および光応答性の平版を開発し、それらの光応答特性について検討する。上記課題を解決するため、本年度は、研究代表者らが新たに発見した、アゾベンゼン誘導体における光融解現象について基盤的な知見を深め、分子構造と光相転移特性との関連を明らかにすることを目的として研究を行った。大環状アゾベンゼンの光融解現象については、光DSC、偏光顕微鏡観察、単結晶X線構造解析およびXRDを用いて検討した。その結果、光融解現象における物理化学的な挙動が明らかになった。さらに、大環状アゾベンゼンは、合成収率が低く、産業応用的に低コスト化が困難であることが課題であるため、本化合物の大量合成法の検討を行い、合成収率の改善を行った。一方で、光融解現象を起こす化合物のバリエーションを増やし、より単純な化学構造を持ち、低コストかつ大量生産可能な化合物の設計、合成、および評価を行った。その結果、分子設計の重要な指針を得ることができ、その検証を現在行っている。次年度は、化合物に関する上記着想を活用し、実際に平版印刷法に適した化合物の開発と、パターンの作製を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書中「課題1」に関しては、化合物に関する物理化学的な知見および新規化合物の開発の部分で当初の計画以上の飛躍的な進展があり、一方で「課題2」に関しては、実験がやや遅れている。以上を総合的に判断して、おおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに設計した化合物を活用し、実際に平版印刷法に適した化合物の開発と、印刷パターンの作製を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
印刷プロセス評価に関して、実験に遅れが出たため、次年度使用額が発生した。翌年度以降は、印刷技術開発に関して積極的に行い、関連部分への研究費の使用を計画している。
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