2011 Fiscal Year Research-status Report
強度及び位相変調広帯域複合電磁場による革新的健全性評価技術の実現
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23760684
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遊佐 訓孝 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60466779)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交流 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、近年見出された、時間変動電磁場を用いて材料評価を行う際の定量性を飛躍的に向上させる新技術を、現在既に実績を有するkHz領域から実用上恩恵の大きいより高周波領域にまで拡張し、その周波数特性、発現条件及び適用限界等を実験と解析の両面から定量的に評価・分析することで、現状解明が一部不完全であるメカニズムを完全に明らかにすると共に、非破壊検査/評価技術という観点からその性能を定量的に評価するというものである。平成23年度研究において主たる対象としたkHz領域から数MHzまでの電磁場を用いた分析においては、従来得られていた電流ダイポールの位相急変という発現メカニズムのさらなる詳細分析のため、数値解析環境を整備し、発現条件確認及び、各種きず性状に起因する信号変化の定量的評価のための数値解析を実施した。加えて、測定試験環境を構築し、オーステナイト系SUSに加工した人工スリット及び応力腐食割れに対する測定試験を実施し、実機適用性議論のための基礎データの収集を行った。また、平成24年度において主たる対象とする10MHz~40GHzまでの電磁場を用いた当該技術研究のための、有限要素法に基づく数値解析環境の構築、及び当該数値解析環境を用いた接続部における反射特性に関する予備的検討を行った。解析の結果は実験結果を良好に再現するものであることが確認された。また、予備的検討の結果、接続部における透過特性に大きな影響を与える形状パラメータが見出され、検証のための測定試験を実施し、解析結果の妥当性を確認すると共に、平成24年度のGHzプローブ設計における指針を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災による被害のため、年度初頭は学内各種環境の復旧を最優先せざるを得ない状況であり、実際に本研究の実施が可能となったのが平成23年度の下半期になってからであった。そのため、当初予定に比して研究の開始に約半年の遅れが生じてしまった。加えて、同震災の影響により、当研究において用いる予定であった研究環境、特に当研究において用いる予定であった主要機器の一つであるネットワークアナライザが被害を受け、それらの復旧及び修理のための対応が必要であった。これらの理由により、平成23年度末時点での達成度は特に検証試験の実施において、当初の予定に比してやや遅れていると言わざるを得ないが、環境の復旧はほぼ完了しており、また上述のように数値解析に関してはほぼ遅れを取り戻すことができた状態である。平成24年度引き続き鋭意研究をすすめることにより、当初見込み以上の達成状況が得られるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度研究においては、まず、震災の影響により遅延が生じてしまった平成23年度研究項目、より具体的にはより具体的には疲労割れ及び磁性材料に対するkHz~数MHz電磁場での適用性と、測定結果から対象の性状を評価するための数値アルゴリズムの構築を完了させる。続いて、平成23年度構築した数値解析環境を用い、GHz電磁場における発振器形状及び接合部に関する詳細検討を実施し、適切な発振器位置及び個数、変調、そして受信器に関する数値解析による検討を行う。kHz電磁場における知見がMHz、GHzの高周波領域においても適用されうるものであるか否か、またその限界はどの程度かを定量的に評価し、高周波での特性を踏まえた検出信号分析アルゴリズムの構築と検証試験を行う。最終的に、得られた知見を平成23年度知見とも統合し、本技術における各種劣化、より具体的には材料中の各種割れ及び電磁気的特性変化を伴う劣化に対する最適試験条件を系統的に明らかとし、数値解析も援用した材料評価手法を構築する。その検出能及び評価能、即ち割れに対してはその断面性状評価能、劣化に対しては材料内部の電磁気的特性の絶対値及び空間的分布評価能を、数値解析及び検証試験により得られた信号データを用いて定量的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度においてkHz電磁場に関する試験環境はほぼ整備が完了しているため、当初計画どおり、平成24年度の研究費(物品費および消耗品)は、GHz電磁場環境、より具体的にはGHzで動作するプローブ、及びそのための架台、そして検証用の試験体の購入もしくは製作に関わる物が主である。架台に関しては第1四半期に、プローブ及び試験体に関しては、解析結果がまとまった、第2四半期での執行を予定している。また、平成23年度は震災に伴う研究の遅延により外部発表のための旅費使用額は0であったが、平成24年度は国内外での学会発表を積極的に行う予定であり、当初想定額相当の国内外旅費使用を見込んでいる。 なお、平成23年度未使用額が発生しているが、これは4月支払分であり、すでに平成23年度中に執行済みであるため、次年度での使用予定はない。
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