2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760685
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 優 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
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Keywords | 腐食防食 / 電気化学 / 白金 / マイクロ電気化学セル |
Research Abstract |
化学的に安定な高耐食性を有するPtの表面構造を創成するため、Ptの電気化学特性に及ぼす材料因子、特に結晶方位や粒界の影響を調査した。一般的に電気化学特性に及ぼす結晶方位の影響を調査するには単結晶を用いることが多いが、Clavilier法などPt単結晶を作製する手法は容易ではなく量産が困難である。そのため、マイクロ電気化学セルを用いて、Pt多結晶に含まれる単一結晶面の電気化学測定を行うシステムの構築に取り組んだ。試料として用いた多結晶Ptは、1823Kにおいて熱処理することにより結晶粒を数100μmまで粗大化した。内径140μmのマイクロキャピラリーを有し、セル自体を光学顕微鏡の対物レンズのレボルバーに取り付けたマイクロ電気化学システムを作製することにより、狙ったPt単一結晶面の電気化学測定を行うことが可能となった。このシステムを用いて、Pt多結晶におけるPt(100)、Pt(110)表面のサイクリックボルタンメトリー(CV)を行うと、単結晶Pt(100)、Pt(110)におけるCVと同様の電気化学挙動が計測され、マイクロ電気化学セルを用いたPt単一結晶面の電気化学計測の有効性が示された。また、Pt(110)表面ではPt(100)表面と比べ大きなPtの酸化電流が計測され、結晶方位がPtの酸化特性に大きな影響を与えることが分かった。また、(100)と(110)で形成される粒界を含む領域におけるCVでは、単一結晶面上のCVと比べ、非常に大きな酸化電流が計測された。このことから、多結晶Ptにおいては結晶粒界が優先酸化サイトとなっている可能性が示唆された。Ptの溶解反応はPtの酸化物形成により加速することが報告されており、多結晶Ptでは粒界が優先的に溶解していると推測される。
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Research Products
(3 results)