2013 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム合金板の繰り返し塑性変形におけるマルチスケール変形特性
Project/Area Number |
23760697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浜 孝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10386633)
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Keywords | マグネシウム合金板 / 繰り返し塑性 / 結晶塑性有限要素法 / 双晶変形 / 環境材料 |
Research Abstract |
本年度得られた主な成果を以下に箇条書きで示す. ①結晶塑性有限要素法により,マグネシウム合金圧延板において圧縮予ひずみがその後の引張変形時の加工硬化挙動に及ぼす影響を検討した.まず解析結果と実験結果を詳細に比較したところ,定性的に良好な一致が見られ解析の妥当性が示された.続いて解析により変形メカニズムを検討した結果,以下のことが明らかとなった.圧縮予ひずみが小さい場合,引張変形中に双晶回復支配型の変形からすべり変形支配型の変形へのモード遷移が急激に起こるため,加工硬化率も急激に変化する.一方圧縮予ひずみが大きい場合,圧縮変形中の双晶回転により引張変形開始時には結晶方位が大きく分散している.そのため引張初期から双晶回復だけでなく多様なすべり系が活動し,結果として予ひずみが小さい場合に比べて変形モードの遷移および加工硬化率の変化が緩やかになる. ②本研究で開発した二軸引張試験機を応用して,圧縮予ひずみを与えた後に種々の方向へ引張変形を与えた時の交差効果を調査した.その結果,予ひずみ負荷方向と引張方向のなす角が0°の場合は顕著なS字状の加工硬化挙動が発現するが,90°に近づくにつれてS字状の加工硬化挙動は見られなくなることが明らかとなった.またその変形メカニズムを結晶塑性有限要素法により検討した結果,なす角が90°に近づくにつれて双晶回復の活動が弱まるために加工硬化挙動におけるS字状も弱まることが明らかとなった. 本研究全体を通して,マグネシウム合金板の繰り返し変形における変形特性を調査するための実験および解析ツールを開発し,またこれらツールによりその変形メカニズムを特に双晶活動の観点から明らかにした.これにより,マグネシウム合金板の繰り返し変形時の変形挙動の理解に大きく貢献することができた.
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Research Products
(11 results)