2013 Fiscal Year Annual Research Report
人工さび粒子を用いた鋼材の耐食性発現機構の解明および高耐食性鋼材の開発
Project/Area Number |
23760699
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田中 秀和 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70325041)
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Keywords | 人工鉄さび / 耐候性鋼 / 腐食・防食 / 形態制御 / 腐食機構 |
Research Abstract |
本課題では,鋼材の腐食生成物である鉄さびあるいは亜鉛さびの生成,構造,形態とさび粒子層の緻密性,安定性,保護性の関係をナノ-ミクロ-マクロレベルで解明することを目的する。平成24年度は以下の検討を行った。 (1)耐候性鋼に微量合金化金属の働きを解明するため,Cu(II),Cr(III),Ni(II)存在下,Fe(II)からα-FeOOH粒子を調製した。α-FeOOH粒子の微細化にはCr(III),Cu(II)が有効であった。これは,Cr(III),Cu(II)はNi(II)より低pHで加水分解すること,Cr(III)はα-FeOOH結晶に固溶すること,Cu(II)はJahn-Teller効果によりCuO6 8面体が歪むことに起因すると明らかになった。 (2) SOx環境下で生成するSchwertmanniteさびについて,人工Schwertmanniteさびの生成に対するTi(IV)の影響を調べたところ,Ti(IV)はSchwertmanniteさびを微細化し,同時に安定相であるα-FeOOHへの転移を促進した。したがって,耐候性鋼中のTiはα-FeOOHさびの形成を促進し,同時に微細化すると示唆される。 (3) 塗装防食鋼板の腐食機構の解明のため,α-,β-FeOOHの生成に対するリン酸イオンの影響を調べた。リン酸イオンはα-FeOOHの生成に大きな影響を与えなかったが,β-FeOOHの形成を抑制した。よって,飛来塩分環境下では塗装防食鋼板の有効性は低いと示唆される。 (4) 鋼材の腐食に対する大気中のSOxの影響を調べるため,α-,β-FeOOHの生成に対する亜硫酸イオンの影響を調べた。亜硫酸イオンは,Fe(III)をFe(II)に還元するため,FeOOH粒子の形成を抑制し,その効果はβ -FeOOH >α-FeOOHであった。
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Research Products
(13 results)