2011 Fiscal Year Research-status Report
透明な規則配列ナノ多孔質薄膜による新機能性材料の創製
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23760702
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小野木 伯薫 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90375147)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コーティング / ゼオライト / 蛍光体 / ヒートポンプ |
Research Abstract |
光学デバイスを念頭にしたガラス基板へのゼオライト成膜について検討した。これまでに成膜に用いている方法(二重カプセル水熱ホットプレス法:DCHHP法)を用いて、ガラス基板への透明ゼオライトコーティングを試みた。市販のY型ゼオライトを原料として用いた。NaOH溶液とゼオライト原料を混合したスラリーもしくはペーストをガラス基板上に塗布し、130℃を保持し、40MPaで加圧することでガラス基板上に透明緻密なゼオライト膜を作製することに成功した。透明緻密膜を得られた後に、膜厚制御についての検討を行った。ゼオライト原料粉末をそのまま用いた薄膜では、原料粉の粒子径以下の膜厚にすることが出来なかった。ゼオライト粉末をナノサイズ化した原料粉末を用いることで、サブミクロン厚さでの成膜が可能であることがわかった。 金属基板へのゼオライトコーティングによって、ゼオライトと水のモル水和熱を利用することにより、50%以上の高い熱効率で、100℃程度の低品位廃熱を利用できるヒートポンプを作製できる可能性がある。実用化の大きな障害であるゼオライトの低熱伝導性を、高熱伝導性を有する銅、アルミ金属基板にゼオライト膜を積層することで克服し、高熱効率かつ低温熱源でも利用可能なヒートポンプ開発に繋がる材料となる。従来、高濃度アルカリ溶液中合成するため金属基板上へのゼオライト成膜は困難であったが、本研究で開発された粒子積層法により、金属基板へゼオライト積層がワンプロセスで行えることがわかった。作製した銅/ゼオライト複合積層化材料は、比較対象とした単純な銅/ゼオライト重ね合わせ材料と比較して大きな伝熱特性の向上が確認され、ゼオライトの低熱伝導性を克服する可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガラス基板、金属基板(アルミニウム、銅)への新規ゼオライトコーティング法の開発に成功した。光学分野への応用展開を目指しているガラス基板へのコーティングは、成膜プロセスの改良、特に原料粉末の粒子径を小さくすることで膜厚最小化への方針が見出された。金属とゼオライトを強固に接合することに成功したことによって、ゼオライトの伝熱特性が最善される見通しが立ち、新しい熱デバイス材料としての可能性が見出された。計画当初は想定していなかった新しい応用展開が広がる可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、研究を遂行していく。 本研究で作製されたゼオライトコーティング材料について、ゼオライト特有の規則性ナノ細孔内への錯体イオン導入による新機能性材料を試作する。これまでに粉末状態でしか得られていない特性をガラス基板上に成膜した透明緻密ゼオライトにおいて獲得することを目指す。新しい蛍光材料の作製を試みる。具体的には蛍光体としてTb, Eu, Ag等の硝酸塩水溶液を有機錯体(ベンゾフェノンなど)と組み合わせて、成膜したゼオライトとイオン交換を行う。ブラックライト照射により蛍光特性の確認後量子効率測定を行う。 アルミ・銅合金基板上のゼオライト薄膜の誘電率を測定する。金属基板にナノオーダーで制御された膜厚で成膜することを目指す。ゼオライト/金属積層材料系の熱物性と水分吸脱特性の関係を調査し、ゼオライトヒートポンプ熱効率向上の可能性を検討する。ステンレス基板へのコーティング材料は防汚特性評価として、水滴接触角測定、シャーウッド数測定等を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東日本大震災の発生により、予算の慎重な執行が求められたことから、導入予定が遅れている大型試料作製のための装置新造を行いたい。 ラボレベルの物性測定について、必要な計測機器を整備する。外注による物性測定の場合、ラボレベル測定で見通しが付いた試料を選択的に測定することで、予算の効率的な執行を目指す。
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Research Products
(5 results)