2011 Fiscal Year Research-status Report
微粒子マスクを用いた構造転写技術によるアルミニウム表面の微細加工とその応用
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23760703
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
阿相 英孝 工学院大学, 工学部, 准教授 (80338277)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 構造転写技術 / 材料加工・処理 / アノード酸化 / コロイド結晶 |
Research Abstract |
申請者が取り組むナノ・マイクロ規則構造作製技術を有用なプロセスとして位置付けるためには,パターンの規則性を高度に制御することに加え,マスクの耐エッチング性を向上させる必要があった。また,デバイス応用の可否に加え特性向上を決定づけるには,パターンの精密性もさることながら加工面積の拡大も優先課題であった。本年度は,加工範囲として直径1インチ以上の大面積化を実現することを目標にスピンコート法による微粒子の自己組織化膜の形成条件の最適化を継続検討すると共に,アルミナマスクの代用として高分子樹脂からなる絶縁性マスクの作製,マスクを介した湿式エッチングによる構造転写を実施した。 当初下地基板にはアルミニウムを想定していたが,微粒子自己組織化膜の構造制御をより精密に評価するため基板表面が原子レベルで平滑な各種半導体単結晶基板(Si,GaAs,InP)を用い,作製したマスクの有用性を検証した。例えば,ミクロン周期で規則的な開口部の配列を持つフォトレジスト製ハニカムマスクを介したインジウムリン(InP)基板のアノード電解エッチングにおいては,孔の成長挙動に対する結晶面の影響を明らかにするとともに,孔発生位置を二次元平面でパターン化することでポーラス構造の自己組織化に基づき既存のリソグラフィー技術では作製困難な幾何学パターンを自発的に誘導することに成功した。作製したレジスト製マスクは規則的な開口部を持つだけでなく,下地基板との密着性にも優れることから,アノード酸化などの湿式プロセスにおいて,反応位置を高度に制御することができた。関連成果は,国内における学術講演会ならびに学術論文として発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板表面の平滑性が高い各種半導体単結晶基板上では,開口部がミクロン周期で規則配列したレジスト製マスクの作製が可能であり,下地基板との密着性にも優れることから,アノード酸化などの湿式プロセスにおいて,微細加工位置を高度に制御できた。また,マスク開口部の周期に関しても,テンプレートとなる微粒子の粒径を変えることで調整可能であった。関連成果は,学術論文ならびに学会において積極的に発表し,本研究を通じて得られた知見・技術を広く世に伝えるように努めた。しかしながら,基板表面の平滑性に劣るアルミニウム基板上においては,同プロセスを用いても規則性の高いマスクの作製が困難であり,アルミニウム表面の平滑性を改善する前処理の検討が別途課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で課題となっている,金属アルミニウム上への高規則性・高密着性マスクの形成に関して,前処理条件の最適化も含め検討を継続すると共に,半導体基板以外の金属材料に対しても本手法の適用を検証する。 また,これまで先行研究も含め下地基板には緻密なバルク材を適用してきたが,下地基板がポーラスな材料でも構造転写が可能であることを実証する。一例として,ナノポーラスアルミナ皮膜を下地基板として,その上に微粒子マスクを形成し,微粒子間に露出したアルミナ層を選択的に溶解除去することでナノポーラスアルミナの集合体からなる擬似フラクタル構造を作製した。微粒子とポーラスアルミナの接触界面において,2次処理に用いる液の浸透を抑制でき,位置選択的な溶液の充填に基づきナノ反応場を制御することで,異物質充填によるナノコンポジット化などが期待できる。種々の反応の組み合わせによる新規構造体の設計に関しても並行して研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行のための設備備品のほとんどは備わっており,新規に導入を必要とする設備備品はない。そのため研究費は,系統的な研究を実施するための実験材料(微粒子懸濁液,試薬,基板),研究成果を公開するための国内旅費,国外旅費および学術雑誌への論文投稿にかかる費用などで使用する予定である。
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Research Products
(11 results)