2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760706
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
溝尻 瑞枝 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (70586594)
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Keywords | 微細加工 / 反射率 / 反射防止構造 / リソグラフィ / 熱電発電 / 熱電薄膜 / 微細周期構造 / 熱電薄膜デバイス |
Research Abstract |
本年度は,前年度までに確立した微細加工プロセスを用いて,熱電薄膜表面に微細周期構造を作製し,擬似太陽光を照射したときの反射率を評価した.更に,その微細周期構造を評価用の熱電薄膜モジュールの高温部の表面に付与した. 熱電薄膜表面に微細周期構造を形成するため,ガラス基板上にリソグラフィプロセスにより微細周期構造のレジストパターンを形成し,プラズマエッチングにより下地のガラス基板に転写した.続いて,その上から,Bi0.5Sb1.5Te3の熱電薄膜をスパッタ成膜し,規則化のための熱処理を行った.擬似太陽光(A.M.1.5)を45°の角度で照射したとき,周期2μmの周期構造を付与した熱電薄膜表面の反射率は約47%に低減することができた.熱電薄膜モジュールに均一な密度の光エネルギーを照射したとき,微細周期構造の有無による表面反射率の違いにより温度差が生成されると期待できる.生成される温度差を測定するため,熱電薄膜モジュールの高温部のpn接合表面に微細周期構造を形成し,擬似太陽光を照射したときのモジュールの開放電圧を測定した.測定用の熱電薄膜モジュールは,Bi0.5Sb1.5Te3(p型)とBi2Te2.7Se0.3(n型)の熱電薄膜素子をスパッタ成膜とリフト・オフプロセスによりパターニングし,15対のpn接合を直列に接続した.擬似太陽光を照射したとき,正の開放電圧が得られた.このことは,高温部として微細周期構造を付与したpn接合部の光吸収が,低温部の光吸収より大きくなったことを示唆しており,均一な光源を照射した場合においても熱電薄膜表面の反射率を制御することで温度差を生成することに成功した.本研究に関連する成果は,MEMSに関する国際会議や応用物理学会で発表するとともに,国際的な学術論文に投稿した.
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