2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子によるセラミックス表面修飾技術の開発と金属基複合材料への応用
Project/Area Number |
23760708
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
水本 将之 岩手大学, 工学部, 准教授 (90325671)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 自発溶浸 / 金属基複合材料 / 無電解めっき |
Research Abstract |
無電解めっき法を応用して,アルミナ基板の表面に,めっき時間を制御することによって粒径を200~800nmの任意の大きさに制御したCuナノ粒子を作製することができた.次に,表面をCuナノ粒子で修飾したアルミナボールを作製し,それらを充填した層に1043Kで保持した溶融Al合金を自発溶浸させる実験を行ったところ,保持時間が30分では全く溶浸しなかったが,1時間では完全に溶浸した.アルミナ充填層へのAl合金の溶浸深さには保持時間への依存性が見られなかったことから,Cuによる溶融Al合金/アルミナ界面の濡れ性の改善以外の要因によって自発溶浸したことが予測された.そこで,Cuナノ粒子で修飾したアルミナ基板を大気中,1043Kで熱処理してXRD分析を行ったところ,熱処理後はCuのピークが消失して,CuOのピークのみが検出されたことから,Cuナノ粒子は熱処理によって酸化され,すべてCuOに変化したことがわかった.このことから,溶融Al合金とCuOが接触した際に,AlがCuOを還元するテルミット反応によって,溶融Al合金/アルミナ界面の濡れ性が改善された結果,自発溶浸したことがわかった.さらに,Cuで完全に被覆したアルミナボールを用いた場合では,Cuナノ粒子で修飾した場合と比較して,自発溶浸にかかる時間が2倍になった.これは,ナノ粒子状のCuの方が皮膜状よりも比表面積が大きいことから,熱処理による酸化反応およびAl合金溶湯との反応性が良くなり,短時間で溶浸したと考えられる.これらの結果から,無電解めっきにより,セラミックス強化材表面に任意の粒径に制御した金属ナノ粒子を導入する技術を確立し,作製した金属ナノ粒子を熱処理して,金属溶湯との反応性に優れた酸化物ナノ粒子に変化させることにより,溶融金属とセラミックス強化材が自発的に複合化する新規な金属基複合材料の複合化技術を開発することができた.
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Research Products
(3 results)