2011 Fiscal Year Research-status Report
石炭フライアッシュ中のレアアースの希酸への溶出挙動及び固液間分配挙動
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23760710
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柏倉 俊介 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10589956)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | フライアッシュ / レアアース / 資源回収 |
Research Abstract |
本年度は石炭フライアッシュ中のレアアースの精密定量に加えて、最適な抽出方法を考える上でレアアースの溶出挙動を明らかにした。フライアッシュ中のレアアース(Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)含有量についてはその標準試料であるNIST SRM 1633bで420mg/kg, 本研究で使用したIRANT EOPでは806mg/kg程度であり、イオン吸着型を除く鉱石に匹敵するものであったが、種々のフライアッシュ中のレアアースの総量に関する測定事例はこれまでに存在しなかったため、本課題では7種類のフライアッシュについてレアアースの含有量についての精密定量を行った。標準試料であるIRANT EOPによって測定系のバリデーションを行い、提供を得た7種類のフライアッシュサンプルについて313-961mg/kgとのレアアース含有量の定量値を得た。更にこの中から2種類のフライアッシュをピックアップして、レアアースの溶出挙動を明らかにした、溶出試験は希硫酸中にて行われ、温度(30℃,60℃,80℃)と時間(5分,10分,30分,60分,120分)を変化させてレアアース各元素の抽出率の変化を測定した。レアアース各元素の抽出率は時間及び温度と共に増大し、前記の条件化では最大で60%程度の値が得られた。さらに、これらの溶出挙動に対して境膜内拡散律速を仮定した未反応核モデルを適用したところ、フライアッシュ中に存在するレアアースにはフライアッシュ粒子のごく表面に存在し、即時に溶出するものと、より粒子内部に存在し、時間と共に徐々に溶出するものの2種類が存在することが明らかになった。以上の結果は現在論文として編集し、International Journal of Environmental Science & Technology誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度においてはフライアッシュ中のレアアースの精密定量し、その溶出挙動の把握を行うことが目標であり、概ね達成できたと考える。しかしながら東日本大震災の影響により測定の再開までにある程度の時間を要したため、手元にある7種類のサンプルすべてについて溶出挙動を把握するまでに至らなかった。この点を踏まえ、本年度は上記の課題の遂行を加速すると共に、抽出から回収に向けた平成24年度の工程の実施に鋭意努力する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は精密定量の更なる精緻化と溶出挙動の更なる解明に加えて、希酸によるレアアースの抽出とイオン交換膜を用いたその回収について取り組む予定である。本課題の重要な部分を占める誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)については、従来まで用いていた四重極型の質量分析計を持つHP4500型(Agilent Technologies)に代えて、二重収束型の四重極型の質量分析計を備えるElement2型(Thermo Scientific)を用いることにより、測定に際して更なる高確度化及び高性能化を図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度までにおいて必要な設備を含む物品の調達は概ね完了したため、平成24年度は耐久消費財(pH, ORP電極など)の交換の必要がある場合の交換、及び対外への成果発表に重点を置いて研究費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)