2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760711
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平木 岳人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60550069)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルミニウムドロス / 窒化処理 / アンモニア製造 |
Research Abstract |
アルミニウムリサイクルの総合的な環境負荷低減を目指し、本研究年度はアルミニウムドロス残渣(:アルミニウムの溶解処理時に発生したアルミニウムドロスからメタル回収をした後の残渣)の資源化処理を主として行った。ドロス残渣は、アルミニウムおよび合金元素の酸化物またそれらの複合酸化物、アルミニウム窒化物、金属アルミニウム、塩化物など多数の構成物質が存在するため資源化が困難である。本年度はドロス残渣の構成相と構成比を主として分析し、ドロス残渣のサイズによって構成比が大きく異なることがわかった。ドロス残渣の粒子サイズが大きいほどメタル分が多く、小さいほど酸化物、窒化物、塩化物の構成比が高くなる。サイズの大きなドロス残渣はメタル分が多く資源として有効であるが、サイズの小さいドロス残渣は何らかの資源化処理が必須である。本研究では分析結果をふまえて、微細ドロス残渣を窒素雰囲気で加熱することにより、残留金属アルミニウムをアルミニウム窒化物とし、元々高い構成比で存在する窒化物とあわせて、窒化物資源とした。また同時に塩化物を揮発除去することに成功した。この結果、アルミニウム窒化物と酸化物の大きく2つの構成物質からなるドロス残渣を得ることができることを示唆している。得られる窒化物と酸化物の混合物は、湿式処理において窒化物と水との反応からアンモニアを製造可能である。アンモニアは肥料原料や排ガス処理など多用途であり広く利用できる一方、その製造法であるハーバーボッシュ法はエネルギー多消費プロセスである。湿式処理によるアンモニア製造はハーバーボッシュ法と比較して極めて低いエネルギー消費量であることから、ドロス残渣の窒化物としての資源化はアンモニア製造の環境負荷低減にも繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響により分析装置等の使用に影響が生じたものの、実験・解析はおおむね順調に行うことができた。国内企業の協力によりヒアリングによる情報収集やサンプル提供も満足にできている。
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Strategy for Future Research Activity |
雰囲気制御加熱により得られたドロス残渣を使用したアンモニア製造を行う。そこでは、発生するアンモニアの純度、不純物の組成と濃度の特定および処理プロセスの効率について検討する。また、撹拌を伴う雰囲気制御加熱により、より短時間でのアルミニウムドロス残渣の資源化処理を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費は、資源化処理をしたドロス残渣を原料とするアンモニア製造装置の設備品の購入、発生したアンモニアの分析機器部品の購入等に使用する。必要に応じて、試薬や標準ガスを購入する予定である。 得られた成果について国内外での発表旅費や調査旅費を本年度同様に使用する。
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Research Products
(1 results)