2012 Fiscal Year Research-status Report
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23760711
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平木 岳人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60550069)
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Keywords | アルミニウムドロス / 窒化処理 / アンモニア製造 |
Research Abstract |
アルミニウムリサイクルの総合的な環境負荷低減を目指し、本研究年度はアルミニウムドロス残渣(:アルミニウムの溶解処理時に発生したアルミニウムドロスからメタル回収をした後の残渣)について、窒素雰囲気で加熱処理による窒化物としての資源化を実施し、さらに窒化処理した残差を原料としたアンモニア水の製造を試みた。 ドロス残渣には、アルミニウムおよび合金元素の酸化物またそれらの複合酸化物、アルミニウム窒化物、金属アルミニウム、塩化物から構成されている。昨年度はドロス残渣の構成相と構成比を主として分析し、ドロス残渣のサイズによって構成比が大きく異なることがわかった。得られたデータを参考にして、窒素雰囲気での加熱による窒化処理に最適な粒子サイズを250マイクロメートル以下とした。 スクリーニングしたドロス残差を窒素雰囲気にて1100℃3時間加熱したところ、含有していた金属アルミニウムは完全に窒化アルミニウムとなり、さらに含有していた塩化物は揮発により除去することができた。窒化処理した残差を原料として、アルカリ水溶液による加水分解を行ったところ、アンモニアガスが発生し、アンモニア水として回収することができた。得られたアンモニア水は簡易分析の結果、濃度数%かつ高純度のアンモニア水であることがわかった。 得られたアンモニア水は工業用としての販売が高く期待できるが、市販のアンモニア水は25%以上が基準となっている。さらに高濃度のアンモニア水をドロス残差から製造するため、連続式あるいはセミバッチプロセスの構築が必要である。 また、アンモニア発生には反応速度向上のためにアルカリ水溶液が必要であるが、オートクレーブなどを利用した高温高圧水を用いることで、アルカリ水溶液を用いることなくアンモニア水を直接的に製造できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内企業において高く関心を持っていただいている。また、定期的にアルミニウム協会と情報交換を行っており、サンプルの提供などを含めて合理的かつスピーディーに研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の計画として、 ①アルミニウムドロス残差の最適スクリーニング ②スクリーニングしたドロス残差の低温・短時間での窒化処理 ③窒化処理したドロス残差を原料とした25%以上アンモニア水の製造 を予定している。 これらの達成により、アルミニウムドロス残差について世界初のエコプロセスが実現可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルミニウムドロス残差を原料としたアンモニア水の製造とその分析・評価を重点的に行うため、高温高圧反応器に必要な部品の購入や、分析に必要となる費用を予定している。
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Research Products
(1 results)