2012 Fiscal Year Annual Research Report
振動一方向凝固法によるシリコンインゴットの結晶粒径制御
Project/Area Number |
23760714
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成田 一人 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50404017)
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Keywords | 太陽電池 / 多結晶 / シリコン / ファセット成長 / 双晶 / 一方向凝固 / 振動 / 超音波 |
Research Abstract |
多結晶Si太陽電池の性能を上げるためには,一方向凝固法にて製造される多結晶Siインゴット中の不純物元素および格子欠陥を低減し,品質を高めることが重要である。Si融液の凝固過程を制御し,粗大な結晶子からなる多結晶Siインゴットを作製した場合,不純物元素の貯まり場であり,電子と正孔の移動を妨げる結晶粒界が減少するため品質が向上する。そこで本研究では,Si融液の一方向凝固中に電動(200~300Hz)または超音波(33~37kHz)振動を印可し,多結晶Siの結晶子径を制御し粗大化させること試みた。 結晶子径を制御する主パラメーターは,冷却速度と振動数である。冷却速度の影響に関しては,速度が上がることにより,<111>のファセット成長が抑制され,結果として<211>, <110>及び<100>方位を優先成長方位とする粗大なSi結晶子が初期凝固部(るつぼ底部)に成長することが分かった。しかし,初期凝固部から少し離れると,冷却速度が速すぎるために結晶子は微細な等軸晶となった。電動および超音波振動を印加した場合も,同様にるつぼ底部に粗大なSi結晶子が成長したが,特筆すべき点として,等軸晶の発生が抑制され,柱状晶の成長が多く観察されるようになった。また,振動印加時は,振動しない場合に比べて冷却速度の僅かな低下が測定された。そこで,初期凝固部に成長する粗大な結晶子を種結晶とみなしての組織制御を行った。電動振動(120Hz)を印加して40μm/secでの一方向凝固途中に,振動の印加を中止し,冷却速度を5μm/secに落として引続き一方向凝固させたところ,初期凝固部から最終凝固部に向かって粗大に成長した結晶子を育成することができた。今後,さらに実験を推し進めて光電変換効率向上に繋がる組織制御条件の最適化を図りたい。
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