2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波照射による核化誘導現象の解明~核生成理論の新展開~
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23760724
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
朝熊 裕介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40364038)
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Keywords | マイクロ波 / 核生成 / 分子拡散 / 貧溶媒効果 |
Research Abstract |
晶析プロセスとして、蒸発操作を伴わない貧溶媒添加晶析は国内・外で研究されており、様々な分野で活用されている。今回用いた貧溶媒添加法とは、溶質の溶解度を下げるような他の溶媒の添加により結晶を得ることができ、さらに、一般に室温で操作が可能であり、晶析時には加熱、冷却操作を伴わず、瞬時に高純度の結晶を得られる利点をもっている。しかし、生産する上で求められる結晶品質の制御、粒径分布の制御に関する研究はほとんど行われておらず、貧溶媒効果による核化、結晶成長機構は完全に解明されていない。本年度は、マイクロ波でこれらの問題点を制御できると考え、マイクロ波照射による貧溶媒効果の結晶成長メカニズムについて検討した。 光学セルに25 ℃のNaCl水溶液を入れて、マイクロ波装置に挿入する。その後、液面上にマイクロシリンジを使ってエタノールを静かに滴下する。貧溶媒効果の現象をとらえるために、レーザーを溶液に照射し、DLS法で粒子径を測定する。また、滴下後、マイクロ波を照射し、粒径の時間変化を測定する。本研究では、マイクロ波出力を変更し、マイクロ波照射中のエタノール拡散による貧溶媒効果について検討した。 滴下後、ある時間に到達するとエタノールの拡散が進み粒子が大きくなる。この時、マイクロ波を照射することによって、分子拡散が促進され、成長速度が大きくなる。また、マイクロ波の出力を大きくしていくほど拡散が促進されるため、成長速度がより大きくなる。その後、レーザー周辺でのエタノールの濃度が均一になると粒径が一定になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波照射中のナノ粒子の粒子径測定を可能にし、その知見を得た。この装置によって、マイクロ波照射中の貧溶媒効果による結晶成長促進を観察できた。今回のマイクロ波効果の考察により、貧溶媒効果による結晶成長現象の解明につながると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、マイクロ波照射強度の影響を検討した。今後、様々の操作条件(貧溶媒の量、濃度、測定位置など)を検討し、詳細な貧溶媒効果及びマイクロ波による核生成、分子拡散現象の解明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロ波導波管改良費、その場観察用備品、溶媒などの薬品類。 学会発表旅費、登録費。
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Research Products
(3 results)