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2011 Fiscal Year Research-status Report

新規プロセスに基づいた銀ナノワイヤからなる次世代型導電膜の作製法の構築

Research Project

Project/Area Number 23760730
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

松根 英樹  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10380586)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords銀ナノワイヤ / 湿式合成 / 自己組織化 / 微細配線 / 透明導電膜 / インクジェット印刷
Research Abstract

本研究の目的は、我々が独自に開発した銀(Ag)ナノワイヤの合成法、すなわち原料に熱を加えるだけで銀ナノワイヤが自己組織的に形成する方法を,透明導電膜ならびに微細配線の回路作製に応用することである。従来,銀ナノワイヤの合成には「ポリオール法」が用いられており,数多くの成功例が報告されている.しかし,手法を工学的な用途に用いる場合,使い方によっては原理的に適用できない時もあり,新たな合成法を開発することは重要である.我々が開発した新規法はポリオール法に無い長所もあり,その点を活用して銀ナノワイヤの導電膜や回路を作製する.レアメタルを用いない導電膜作製法の開発は,工学的にも非常に重要である. 本年度は,銀ナノワイヤ薄膜の作製について検討し,その導電性を評価した.同時に有機物カプセルを合成し,ナノワイヤならびにその薄膜形成の材料として評価した.以前,実施者がフラスコ内での合成で用いていた原料をそのまま基板上での合成に転用しても全く銀ナノワイヤは形成せず,溶媒の種類や加熱温度など反応条件を変えて色々と検討したが,目的の構造体を得ることはできなかった.その原因を探索した結果,原料中の有機成分が銀塩と反応する前に基板上から消失してしまうことが原因と分かった.そこで,原料の改良を行い,再び,ナノワイヤの合成を試みた.すると,多数のナノワイヤ状構造体が生成したことがTEM,SEMならびにXRD測定により確認した.以上から,基板上でも加熱するだけで銀ナノワイヤを自己形成させる合成方法を初めて見いだした.薄膜の導電性を評価した結果,バルクと比べて性能がかなり低いことがわかった.これは薄膜化した効果以上に,残存した有機物が電気伝導を妨げていることが予想される.次年度はこの点を改良することで,高性能な導電膜の作製を検討する.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初に設定した課題の一つである基板上での銀ナノワイヤの合成とその薄膜化に成功した.従来のフラスコ内で行なっていた化学反応を基板上で展開する場合に,新たなパラメーターの影響が顕著となり,全く異なった結果が得られた.特に表面積が大きいことによる原料の揮発が,予想以上に大きな障害となった.そのため,新たな材料の探索から始め,反応条件を検討した結果,最終的に,課題を達成することができた.また,上記の研究を通して,基板上で化学反応を行うための基礎的知見を収集することもできた.これを元に次年度での研究を展開する.一方で,得られた薄膜の導電性を測定したが,目標値を超えることはできなかった.これは残存する有機物や銀の表面酸化の影響が考えられるため,次年度において改善していく必要がある.

Strategy for Future Research Activity

印刷法を用いて、透明導電膜の作製を試みる。透明導電膜に要求される条件は「電気伝導性」と「透明性」である。目標とする物性値は、平均透過率が80%以上、抵抗率が10 μΩ/cm以下である。原料液の塗布量と、得られる銀ナノワイヤ膜の電気伝導度ならびに透明度の関係を明らかにする。通常の導電体は、可視域の光吸収が大きいため、透明導電膜を作製することは困難であるが、銀ナノワイヤは可視領域に吸収が無い。そのため、ナノワイヤ膜の厚みを薄くすれば十分高い透明度が確保できると考える。さらに、原料液の塗布と加熱処理を繰り返すと、極めて長く伸びた銀ワイヤの薄膜が得られると考えられるため、高い電気伝導度とともに高い透明度も達成できると予想される。 印刷法で基板上に原料液のパターンを作製し、乾燥、加熱処理することで、銀ナノワイヤからなる回路を作製する。熱処理時に、インクの粘性が下がり、作製したパターンが崩れる可能性がある。そこで、温度を上げるとゲル化する有機材や、融点の高い高分子などを混在させる。有機溶剤乾燥時にも、高分子やゲル化剤が骨組みとなって、作製したパターン構造を維持でき、この問題が解決できると予想する。また、加熱処理時の有機物の揮発はかなり早くなると予想する。 インクジェットを用いて、原料液を精密に平面状(2次元)ならびにライン状(1次元)、点状(0次元)にして反応を行い、その現象を明らかにする。光学顕微鏡と加熱プレートを組み合わせてリアルタイムで現象を追跡する。暗視野顕微鏡を用いると、ナノワイヤでも顕微鏡で観察できるようになる。揮発などの現象をin situで調べ、閉じこめられた領域で結晶化がどのように進行するのか等について明らかにする。同時に、本申請課題の達成までに行った問題解決法をまとめ上げ一般化することで、その方法論を構築する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

銀ナノワイヤ合成用試薬,被覆剤合成用試薬,合成用器具,分析消耗品,溶剤・溶媒等試薬など消耗品を中心とした研究費の使用を計画している.新規化合物を有機合成して,その評価を行う.また,当大学の分析センターに設置された,透過型電子顕微鏡などの大型装置を使用するため,その利用料を計上する.また,本課題に関連する知見を学術論文に投稿する際の投稿料ならび英語校閲費を使用する. 同時に,微細配線の回路を作製するためにインクジェット印刷に必要な器具を購入する.具体的には,インクジェットヘッド(加熱ヒータ付き高粘度液対応)・京セラ IJHK(1台×735千円)の購入を計画している.

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 銀ナノワイヤーの新規合成法

    • Author(s)
      松根 英樹,倉光 雄大 ,増田 恭三,竹中 壮,岸田 昌浩
    • Organizer
      反応工学部会若手講演会(招待講演)
    • Place of Presentation
      工学院大学
    • Year and Date
      平成24年3月18日
  • [Presentation] 担持金属を種として用いた銀ナノワイヤーの新規合成法

    • Author(s)
      倉光 雄大 ,増田 恭三,松根 英樹,竹中 壮,岸田 昌浩
    • Organizer
      化学工学会 第77年会
    • Place of Presentation
      工学院大学
    • Year and Date
      平成24年3月16日
  • [Presentation] Synthesis and Properties of Nanocapsules with Shells of Amphiphilic Layer

    • Author(s)
      松根 英樹,櫻井 大輔,馬場 大空,竹中 壮,岸田 昌浩
    • Organizer
      第6回日中化工シンポジウム
    • Place of Presentation
      武漢湖浜花園酒店(中国武漢市)
    • Year and Date
      平成23年6月23日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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