2011 Fiscal Year Research-status Report
層状複塩基性塩を基盤とする機能集積型ナノ触媒の精密設計に関する研究
Project/Area Number |
23760738
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60437358)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / ナノ材料 / 二酸化炭素排出削減 / グリーンケミストリー / 層状複塩基性塩 |
Research Abstract |
効率的な二酸化炭素のエポキシドへの化学的固定化反応を達成するため、Ni-Zn層状複塩基性塩(NiZn)構造中の孤立Zn(II)種をLewis酸点に用いる触媒設計を施した。この物質変換反応を温和な条件下達成する為には、Lewis塩基の存在が必須であるが、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を外部添加することで大きく触媒活性が向上し、5気圧二酸化炭素雰囲気下にて環状カーボネートがほぼ定量的に得られることを明らかにした。さらに、NiZnのアニオン交換能を利用する事で、NiZnのマトリックス内にLewis塩基性を付与し、Lewis酸-Lewis塩基複合型不均一系触媒を設計する試みを行った。この機能集積型触媒設計では、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルエトキシド(DMAPE-)等のアルコキシドをターゲットゲストとし、アニオン交換反応を駆使してNiZn層間内へインターカレーションした。この際、アルコール部位をアニオン化させるため、塩基性条件下でのアニオン交換が必須となるが、水酸化ナトリウム水溶液を用いてアニオン交換させたところ、水溶液中のヒドロキシルアニオンが優先的にNiZn層間内にインターカレーションされ、アミノアルコキシド導入量が少なくなり、結果、触媒活性は低いものとなった。しかしながら、エタノール中でナトリウムエトキシドを用いたインターカレーションを行った結果、明確な層構造を有するエトキシド導入型NiZn(EtO-/NiZn)触媒が得られた。本EtO-/NiZn触媒は、1気圧二酸化炭素雰囲気下にて効率良く反応が進行し、対応する環状カーボネートが効率良く得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成23年度研究実施計画では、層状複塩基性塩を基盤とする触媒設計に関して、1)基本層の原子配列等の微細構造制御、2)二酸化炭素のエポキシドへの固定化反応による触媒活性評価、を挙げていた。この中で、2)に関して、上述のLewis塩基の層間内への導入に関しては一定の成果を上げている。1)に関しては、孤立カチオン種をZn(II)からCo(II)やCu(II)、Ni(II)へと同型置換した複塩基性塩を合成したが、現段階で結晶構造が悪く、明確な層構造を有する不均一系触媒が得られていないため、さらなる合成法の改良が必要であるためである。この点に関して、平成24年度研究計画と併せて開発を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
層状複塩基性塩を基盤とする本申請研究目的達成の鍵となるのは、1)層構造を有するマトリックス内に孤立金属カチオン種構築すること、および2)効果的なLewis塩基ゲスト分子の層間内へのインターカレーション、であるため、平成23年度実施計画の若干の未到達領域を補填しつつ、当初の研究実施計画に基づき、機能集積型ナノ触媒の設計指針を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請計画に基づき、適切に予算を執行する予定である。
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