2013 Fiscal Year Annual Research Report
d10電子状態の金属リン化物光触媒を用いた水分解反応
Project/Area Number |
23760742
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
齊藤 信雄 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (40313572)
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Keywords | リン化物光触媒 / 水分解 / 水素 |
Research Abstract |
本研究課題では可視光領域の光を用いて水を分解し、水素を生成できる新規金属リン化物光触媒の開発を目的にしている。本年度はd10電子状態のGaP-ZnS固溶体について、GaPとZnSの比率を変化させた(GaP)x(ZnS)(1-x)を作製し、硫化ナトリウムおよび亜硫酸カリウム水溶液を犠牲試薬とした水素生成について調べた。可視紫外拡散反射スペクトル測定において、作製した(GaP)x(ZnS)(1-x)(x=0.5,0.6,0.7,0.8,0.9)は500-600 nmの可視光領域に吸収を持ち、xの値を増加させると吸収端が長波長側にシフトすることがわかった。DFT計算の結果から、GaPは間接遷移型半導体であるのに対し、GaP-ZnS固溶体は直接遷移型半導体であることを示し、GaP-ZnS固溶体は光触媒として活性が期待できることがわかった。420 nm以上の可視光照射による水素生成試験において、GaPxZnS(1-x)(x=0.9)固溶体はGaP単独に比べて高い光触媒活性を示した。また、照射波長を制御した水素生成試験において、光触媒活性は照射波長の増加に伴って減少し(420 > 480 > 520 nm)、600 nmでほとんど活性が見られなくなった。GaPxZnS(1-x)(x=0.9)固溶体のバンドギャップは2.4 eV(約520 nm)であり、バンドギャップと水素生成は良い一致を示したことから、光触媒作用により水素が生成していることを確認した。さらに助触媒として酸化ルテニウムをGaPxZnS(1-x)(x=0.9)固溶体に担持すると光触媒活性は著しく向上した。以上に基づき、d10電子状態のGaP-ZnS固溶体は新規可視光型光触媒として有用であると結論した。
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