2012 Fiscal Year Research-status Report
電気化学測定と熱測定の複合システムによる糖質バイオマス分解過程の解析
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23760746
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
巽 広輔 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (60336609)
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Keywords | バイオマス / バイオセンサー / カロリメトリー |
Research Abstract |
申請者らは、電気化学測定と熱測定との複合システムを構築することにより、バイオマス加水分解過程の詳細な酵素反応速度論的解析、とくにエンド型とエキソ型酵素による協同効果についての定量的解析を行なうことを目指している。昨年度までに、作製した電流計測型バイオセンサーがバイオマス加水分解過程の解析に有用であることを示すことができたが、本年度は、とくにエンド型とエキソ型酵素による協同効果を検討するため、同センサーをカロリメトリーの測定セルに導入することを試みた。これまでに用いてきた電極は外径が6mmあり、そのままカロリメトリーセルへ導入することは困難であったが、ガラスキャピラリーを電極ホルダーとして用いることにより、外径1mmの電極を作製することができた。また、これまでは透析膜の被覆により酵素を固定化していたが、グルタルアルデヒド架橋法に変更することにより、小型のセンサー上でも容易に酵素の固定が行なえるようになった。カロリメトリーの測定セルに小孔を開け、電極を挿入し、電気化学測定と熱測定を同時に行なうことができた。また、エンド型とエキソ型酵素によるバイオマス加水分解の追跡についても、予備的な検討を行なった。しかしながら、電気化学測定と熱測定の相互干渉の問題や、小型のセンサーを簡便かつ再現性良く作製するための方法の改良等、これから克服しなければならない課題も見出され、現在はこれらの点について検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電流計測型バイオセンサーの小型化、およびカロリメトリーセルへの組み込みにおいて、一定の成果が得られた。とくに電流計測型バイオセンサーの電極作製法、酵素固定化法に工夫を施し、小型のセンサーを得ることに成功したことで、カロリメトリーセルへの組み込みがより容易になった点は大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き電気化学測定と熱測定との複合システムについて検討し、糖質バイオマスの分解過程を追跡する実験を行なう。これまでに見いだされた測定システムの問題点、具体的には電気化学測定と熱測定との相互干渉の問題等を克服したうえで、今後は実際に種々の糖質バイオマスを用いて測定を行い、反応条件を変えながら反応速度の解析を行う。また、必要があれば適宜システムに改良を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、ガラス器具等の消耗品が予定より安く購入できたため、27,097円を次年度に使用する。25年度の研究費と合わせ、当初の計画どおり、消耗品、旅費等に使用する。消耗品の主なものとしては各種試薬、電極材料、ガラスおよびプラスチック器具等を購入する予定である。旅費については、海外での研究打合せ1回と国内学会での研究発表を2~3回予定している。
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Research Products
(7 results)