2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体と類似の毛細血管網および再生医療用重厚三次元臓器創製技術の開発
Project/Area Number |
23760752
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武井 孝行 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90468059)
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Keywords | ファイバー / 毛細血管 / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究では、iPS細胞などを利用して体積の大きな生体組織を作るために将来必要となる毛細血管網の作製方法、およびそれを利用した組織構築法の開発を目的としている。 平成23年度は、極細のファイバーを利用してゲル内部に毛細血管様の微細流路ネットワークを作製する手法を開発した。具体的には、湿式紡糸法を応用してポリメタクリル酸メチルからなる、毛細血管と同等の径のファイバーを作製した。続いて、そのファイバーの束を親水性高分子からなるゲル内部に包埋後、そのファイバーのみを溶解することで、微細流路ネットワークを作製した。また、それら微小流路を小血管サイズの流路に集束させることができた。 平成24年度はまず、その微細流路の近傍に臓器細胞を配置する方法を検討した。様々な方法を試した結果、微細流路ネットワークを含むゲルを凍結-乾燥することにより、多孔質化する手法を採用した。その多孔質体に臓器細胞のモデルである肝癌由来細胞株(HepG2)を播種することにより、微細流路の近傍に細胞を配置した。その多孔質体内部の孔の形状を保ったまま全体をさらにアガロースゲルで覆った。続いて、外部からポンプを用いて、微細流路ネットワーク内に培地を流通させた。その結果、微細流路ネットワーク内に培地を流通させた条件は、静置培養した条件に比べて、多孔質体当たりのアルブミン生産速度が高かった。これは、培地を流通させることによって、多孔質体内部の細胞により多くの酸素・栄養素を供給でき、それにより細胞がより増殖したためであると考察する。 アガロースゲルは細胞接着性が乏しいため、多孔質体の材料としては細胞接着性のある材料が好ましい。そこで、細胞接着性を有するゼラチンを含むペクチン/ゼラチン複合ゲルを調製し、それが上記応用に適していることを示した。
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