2011 Fiscal Year Research-status Report
ケミカルバイオロジーによる糖脂質誘導型アミロイドーシスの解明
Project/Area Number |
23760758
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
迫野 昌文 独立行政法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 客員研究員 (50391959)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アミロイド / クリック反応 / 糖脂質 / リポソーム |
Research Abstract |
アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータは、アミロイド凝集と呼ばれる規則的な凝集構造を取る。この凝集体が脳組織へ沈着することにより神経細胞死を引き起こす。近年、アミロイドベータが細胞膜上の糖脂質GM1と結合することで凝集核を形成し、アミロイド凝集を促進していることが明らかにされた。したがって、GM1とアミロイドベータの結合様式や凝集メカニズムを調べることで、アルツハイマー病の予防および治療につながると期待されている。本研究では、天然糖脂質GM1構造をベースにした様々な非天然糖脂質の合成を実現し、GM1とアミロイドベータの相互作用の定量的解釈を行うことを目的とする。本年度は、GM1構造を基盤とした非天然型糖脂質の化学合成を行った。具体的には、GM1の水溶性部位である糖鎖のシアル酸部位を、化学修飾可能なアルキンに置き換えた脂質を作製することとした。GM1糖鎖部位のNeuAcの位置に異なる糖および化合物を結合する手段としてクリック反応を用いることとする。アルキンとアジド化合物の付加環化反応により簡便かつ安定に結合が行える。選択性が高く、他の官能基と反応しないため本研究のような糖鎖への導入には最適であると言える。これまでに糖鎖部位の合成を終了し、現在、脂質と糖鎖部位の化学結合を行っている。今後、脂質の合成を完了させ、ラフト構造形成の確認、さらにシアル酸部位の構造がラフト形成に及ぼす影響を踏まえたうえで、アミロイドベータの蓄積と構造変化に関する検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験にあたり、合成戦略の立案を行い、修正を重ねながらも当初デザインした糖鎖部位の合成をおこなうことに成功している。しかし、糖脂質の全体までの合成には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
クリック反応部位を有するGM1様非天然糖脂質の合成を進め、機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成した糖脂質がリポソーム上に置いてラフトを形成することを確認する。また、ラフト集合体とアミロイドベータの相互作用を確認し、アミロイド凝集化におけるシアル酸の関与を化学的に解析する。本年度は、脂質合成までに至らなかったため、リポソーム調整に必要とされる装置の購入などを見送っている。今後の進捗に合わせて、合成並びに機能解析に必要とする装置の購入を検討する。
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