2012 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性宇宙展開構造材としての機能性ポリマー複合材料のメゾスケール力学の研究
Project/Area Number |
23760759
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 雅章 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60512085)
|
Keywords | 自己展開材料 / 機能性ポリマー / マイクロメカニクス / 熱力学特性 / 形状回復性・形状固定性 |
Research Abstract |
本研究では,宇宙展開構造応用のための新規材料として期待されている形状記憶ポリマー(SMP)複合材料が機能性(形状固定性・形状回復性)を発揮するメカニズムを,実験とマイクロメカニクス解析との対比により検証した.特に,繊維強化形態と展開性能の関係を明らかとし,最適な機能性および力学特性を有する材料のメゾスケール構造の設計につながる知見を得ることを目的として研究を遂行した. 1. スリット導入型形状記憶複合材料における繊維強化形態が材料の変形特性に及ぼす影響について,実験的に検証した.展開特性と引張特性の双方の観点を考えると,ひずみ集中部が受ける荷重を隣接する繊維が受け持つようにスリットを配置するか否かが変形性能に影響することが分かった.破断ひずみを増加させるためには,ひずみ集中部の数を増やすことが有効であり,すべてのスリットに均等にひずみを分散させることが大変形を可能にする有効な手段であると結論づけられた. 2. 形状記憶複合材料の機能性の発現は繊維の弾性力やポリマーの特徴的な温度依存特性に起因しており,その観点から得られる微視力学的メカニズムについて熱力学有限要素法を用いて検討した.特に繊維基材と樹脂との界面結合力の影響について調べた結果,界面が十分に結合している場合,最大曲げひずみが一定の範囲にある場合には,結合強度が弱くても機能性に影響を及ぼさない.一方,界面の応力伝達能力が低く,界面領域が変形しやすい場合,実質形状回復率は増加する傾向にあった.これは,スリット周囲のひずみ集中の緩和による影響と考えられる.
|