2012 Fiscal Year Research-status Report
超小型衛星のための国際ネットワーク軌道決定システムの構築および観測実験
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23760760
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 祐二 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50431523)
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Keywords | 人工衛星 / 超小型衛星 / 軌道決定 / ネットワークシステム |
Research Abstract |
近年、超小型衛星開発が世界的に活発化しており、災害監視、理学観測など実用的ツールとして発展しつつある。一方で、軌道決定システムの準備不足により、追跡管制が半分以上実現できない事例が発生するなど、運用面での技術向上が求められている。本課題では超小型衛星の簡易軌道決定システムを確立し、国際ネットワーク軌道決定システムの実験を実施する。低コストかつ導入が簡易な装置を製作し、国内外の様々な機関に導入してネットワーク運用することで、定期的に衛星軌道を世界に公開し共有できるシステムが実現する。 現状の超小型衛星の運用では、米機関が配信する軌道情報に依存している。本課題の実現により、代替となる軌道情報配信サービスが確立するとともに、低高度軌道や深宇宙軌道など、多様化する衛星軌道にフレキシブルに対応することが可能になる。世界に先駆けてネットワークシステムを確立し、ネットワークのノード局を拡大していくことで、3~5年後には災害監視や理学観測など実用的な超小型衛星運用に多大に貢献できる。コスト面で後進国を含めてあらゆる機関で導入しやすい点が特色である。 H24年度は従来の駆動型アンテナではなく、固定式のモービルアンテナを採用することで、ハードウェアトラブルを起こしやすい駆動系の排除に成功した。一方で、全方位からの地上電波が混信する短所があるため、衛星電波以外の不良データの除去を実現する解析ソフトウェアの作成に注力した。このアンテナを使用して、7月上旬にはドイツにて観測実験を行い、日本の無人局を遠隔モニタすることによる2局同時観測実験を成功させた。データ解析の結果、単独局と比較して精度の高い軌道決定結果が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の計画は、a)ハードウェアの機能改善、b)インドネシア・バンドゥン工科大学に同型の装置を設置、c)データ解析の全自動化、の3点が主な課題であり、いずれも達成できている。 H24年度計画は、a)欧州1局へ435MHz帯受信装置を設置し観測能力を評価、b)日本・インドネシアを含む世界3局体制によるネットワークを使用しデータ処理システム(データ収集・軌道決定・軌道配信)を機能強化、c)東北大学のSバンド受信アンテナによる観測(周波数 のダウンコンバート)および性能評価、の3点である。 aについては、7月上旬にドイツにて観測実験を実施して、目的とする成果が得られた。bに関しては、インドネシア局のハードウェアトラブルにより実現できなかったため、H25年度に再度実施する方針である。cについては、天体観測用の望遠鏡にアンテナを固定して、0.1度精度で追跡可能な小型アンテナを開発した。データ取得と評価については、H25年度に継続して実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の計画は、a) 実験を通じて得られた課題をふまえ、435MHz帯受信装置について機能改善を継続、b) ネットワークによるデータ処理システムの稼働実験を行い、各機関からのレビュー結果をシステムに反映、c) S帯受信アンテナを製作し、国内外の既存局にシステムを持ち込んで、軌道決定能力を評価し、実用化の目途を確認、の3点である。 特に、H24年度に計画していた3局同時観測が2局に減ったため、引き続き、H25年度に3局での観測実験を実現したい。また、60cm口径のS帯受信アンテナを2局用意し、国内2地点に設置しての同時観測を実現する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)