2011 Fiscal Year Research-status Report
CGBOS法による流体に対するCT計測技術に関する研究
Project/Area Number |
23760764
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太田 匡則 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60436342)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 航空宇宙流体力学 / 3次元計測 / 定量的密度計測 |
Research Abstract |
本研究では,非常に簡素な撮影系で密度に関する定量的な計測が可能となるBOS(Background Oriented Schlieren)法と,CT(Computed Tomography)法をもちいて,流体の密度に対する3次元計測を実現することを目的としている.これまでに,いくつかの実験模型を作製し,共同利用施設である宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA/ISAS)の超音速風洞において背景画像にカラーグリッドを用いたCGBOS(Colored-Grid Background Oriented Schlieren)法による計測を行った.実験では5° 間隔で流れ場の計測を行って再構成を行った.本手法の適用範囲を拡大するために,画像解析手法の改良,CTによる再構成結果から密度分布を定量的に得るまでの手順などの検討を行い本手法の計測精度の向上を図っている. また,再現性をもたない非定常現象に対するCT計測を実現することを目的として,6方向から1度に撮影を行う計測システムの構築を開始した.第一段階として,計測対象として軸対称形状の単一ノズルを作成し,1方向からの投影画像からアーベル変換によって求められる軸対象流れ場の密度に関する解析解と,3方向からの多方向投影画像から再構成された密度情報の比較を行った.最終的な目標である6方向同時撮影系による撮影システムの構築に際して問題となる項目の検証を行っいる.非定常現象を1度に捉える計測系では,非常に高精度に捉えることよりも,まずは流れ場の現象を把握できる程度の精度で捉えることが重要であることから,この点を当面の目標として実験を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風洞における実験では,定常流を対象として繰返し実験によって流れ場を3次元的に捉えることに成功している.とくに大型の超音速風洞における実験では,通風運転中の振動などが原因で干渉計などを利用した定量計測はこれまで実現することが非常に困難であったが,本研究の手法を用いることで非常に安価に定量的な密度計測を実現することができている. 再現性をもたない非定常現象を対象としたCT計測では,既に実験装置の構築を開始しており今後実験を重ねて,最適なパラメータを探ることで,6方向からの同時撮影系によるCT計測を実現することが可能であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては,CT再構成の後に流れ場の密度分布を求める手法の検討が挙げられる.BOS法では撮影された画像から流れ場における密度勾配の積分量を定量的に計測できるため,これを投影データとしてCT法による再構成を行うと,局所的な密度勾配の3次元分布を得ることができる.流れ場の密度分布を求めるためには,再構成された密度勾配を何らかの方法で積分すれば良い.本研究では現在までに,デカルト座標系においてそれぞれの座標軸方向に単純に積分する方法と,密度の2階微分値を求めた後に密度に関するポアソン方程式を逐次近似法によって解く方法によって密度分布の取得を試みている.単純に積分する方法では,複雑な形状に対しては積分できない領域が生じる問題があり,逐次近似法で解く方法では衝撃波など急峻な密度変化の生じている付近で誤差が大きくなることが確認されている.このためより正確に密度分布を取得できる方法を検討していく予定である. 非定常現象に対するCT計測では少ない投影数からどの程度まで3次元的な現象を捉えられるのか検証を行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はより解像度の高い計測を行うために,より高性能なデジタル1眼レフカメラを1台購入する予定である.また,CT再構成によって得られた3次元情報を効率的に可視化,表示するために可視化用ソフトウェア(年間ライセンス形式)を購入する.その他に実験用模型の作製,コンパイラ,PC等の購入を予定している. また,これまでの研究成果の発表のために国際会議(15th International Symposium on Flow Visualization - ISFV 15)へ参加し,講演発表を行う予定である.
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