2011 Fiscal Year Research-status Report
空気膜と弾性梁からなるハイブリッド展開構造物の概念検討と基本特性の把握
Project/Area Number |
23760765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻 芳郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (00512005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 航空宇宙工学 / 展開構造物 / 空気膜 / インフレータブル / 機械要素 / 建築構造・材料 |
Research Abstract |
本研究で提案する新概念の伸展マスト構造物であるインフレータブルコイラブルマストについて,まず本年度の検討では,安定的な展開収納を実現するための検討を行った. 本マストの現時点での基本構成要素は,円筒空気膜,ロンジロン(弾性梁),ラジアルスペーサ,伸展制御ケーブルである.本年度は,伸展制御ケーブルを用いずに,内圧のみでマストの展開収納操作ができるかを検討した.インフレータブル構造物を宇宙空間で利用する場合,宇宙環境はほぼ真空であり,減圧による可逆的形態制御は困難と考えられる.しかし,大気圧下での内圧制御による収納に再現性を持たせることができれば,開発の効率化や展開信頼性向上などの利点を見いだすことができる.ラジアルスペーサの有無と間隔,およびロンジロンのマスト伸展方向に対する展開時傾斜角をパラメータとする4種類の長尺マストの模型を製作し,展開収納試行実験を行った結果,以下の知見が得られた.まず,展開時ロンジロン傾斜角を大きくし螺旋形を形成すると,収納過程における円筒空気膜の半径方向の潰れを抑制することができ,ラジアルスペーサを省略できることが分かった.一方,ラジアルスペーサの使用により,展開時ロンジロン傾斜角を小さくすることができ,これによりマストの軸剛性・曲げ剛性は向上する.ただし,収納時に円筒空気膜の気道閉塞により収納が完了しない場合があることが分かった. 製作した4種類の模型のうち,ロンジロンの変形が弾性範囲に収まり,円筒空気膜内の残留気体がほとんど無い状態まで収納できる模型が存在した.収納効率は伸展長で約1/10であり,展開も行うことができた.本検討結果より,展開収納の可否と収納効率を決定する主要な設計パラメータを選定することができた.これらは今後の,展開時剛性試験や構造数学モデルでの検証において活用される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マストの展開状態における静的載荷試験を平成23年度に実施予定であったが,内圧付与時の試験体の破損により実施することができなかった.これは空気膜密閉部の接着が問題であることが分かっており,改善できる見通しは得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施予定であったマストの展開状態における静的載荷試験を実施する.その後,当初の研究実施計画に従い構造数学モデルの構築を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
構造解析を行うため,商用数値解析プログラムのライセンス購入を行う.また,実験を継続的に実施するため,試験体材料と実験治具を購入する.研究成果公表のため,学会発表と論文投稿を行う.
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Research Products
(1 results)