2012 Fiscal Year Annual Research Report
高周波放電式マイクロイオン推進機の放電特性およびイオンビーム引き出し機構の解明
Project/Area Number |
23760769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鷹尾 祥典 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80552661)
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Keywords | プラズマ / 推進機 / 高周波 / マイクロ / 人工衛星 / モデリング / イオンエンジン |
Research Abstract |
本研究は高周波放電式マイクロイオン推進機を対象として実機を作成し、実験結果を詳細な数値解析結果と比較を行うことで、その物理現象を解明し、超小型人工衛星の有用性向上に不可欠なマイクロ推進機の学術的基盤の底上げを目指す。計算時間の制約上2次元軸対称座標系で計算モデル化しやすいように実機を作成した。具体的には、半径5 mm、長さ10 mmの円筒型誘導結合プラズマ源(誘導コイルは5巻)をイオン源として用い、イオンビーム引き出しグリッドの形状も中心軸上に1つだけ穴を開けた構造にした。前年度までに改良を施していた荷電粒子(イオン・電子双方)のみを粒子として扱うPIC-MCC (Particle-in-Cell plus Monte Carlo collisions)法と外部回路モデルを用いて1-500 MHzの広範囲な周波数領域について数値解析を行った。 その結果、低周波数(< 20 MHz)誘導結合による電力供給が支配的となり、高周波数(> 20 MHz)で容量結合による電力供給が支配的となることが分かった。また、低周波数において必要な電源電力は大きくなり(> 10 W)、低電力で高プラズマ密度を得るためには200-300 MHzの周波数帯での放電が適していることが分かった。一方実機において、プラズマを維持できる最低電力の周波数依存性を求めたところ、300 MHz程度において最も低電力でプラズマを維持できることが分かり、計算結果と定性的な一致を確認した。 またプラズマ密度測定、および、イオンビーム測定実験をしたところ、0.02 sccm、260 MHz、5 Wの放電条件で7e16 /m3のプラズマ密度、40 uAのビーム電流を得た。この結果は、PIC-MCCの計算結果におけるプラズマ密度およびイオンビーム電流量のそれぞれとよく合っており、モデルの妥当性を確認できた。
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Research Products
(6 results)