2011 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素大気突入飛翔体まわりで生じる熱化学的非平衡過程の予測精度向上
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23760770
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山田 剛治 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90588831)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Shock wave / Mars entry / Spectroscopy / Shock tube / Nonequilibrium / Carbon Dioxide plasma |
Research Abstract |
本年度は光学計測の準備段階としてアークプラズマ風洞を用いた気流計測を行い,光学計測システムの構築とCO2プラズマ流の光学的気流診断を行った.新しい光学計測システムとして直線バンドル光ファイバを用いた多点同時分光計測システムを構築した.これより一度の計測で10点の空間位置のスペクトル計測が可能となった.また構築した多点同時分光計測システムを適用してアーク加熱炭酸ガスプラズマ流の空間分布計測を実施した.そして得られた計測スペクトルに対して輻射解析コードSPRADIAN2を用いたCAMS法を適用することでプラズマ流中の回転・振動温度の空間分布情報の取得に成功した.得られた研究成果をアメリカ航空宇宙学会主催の50th Aerospace Sciences Meetingにおいて研究報告を行った. また鳥取大学保有の衝撃波管設備を改良して自由ピストン駆動型の極超音速衝撃波管の開発を行った.最初に開発した衝撃波管の運転条件を決定するために特性試験と自由ピストン運動解析を行い,装置を損傷しない適切な運転条件を決定することができた.また衝撃波速度の計測を高精度に行うために2本のレーザーを利用したダブルレーザーシュリーレン計測システムを衝撃波管観測部に構築した.そしてダブルレーザーシュリーレン計測システムを適用して衝撃波管の性能試験を実施した.これより開発した衝撃波管は地球大気圏突入から火星大気圏突入までの幅広い大気圏突入時の衝撃層環境を模擬できる性能を有していることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は二酸化炭素大気突入飛翔体まわりで生じる熱化学的非平衡過程の予測精度向上を目指しており,そのために熱化学的非平衡領域の高精度な実験データの取得と熱化学的非平衡モデルの検証・改善を目的としている. そこで本年度はアークプラズマ風洞を利用した光学計測を実施して先進的光学計測システムを開発し,高精度な実験データを取得することに成功した.アークプラズマ風洞により生成される気流は大気圏突入飛行環境を完全に再現しているわけではないが,炭酸ガスプラズマ中の熱化学過程の解明に役立つものと考えられる.またプラズマ流の計測時間が長いために実験結果を用いて次年度に開発する熱化学的非平衡流計算コードの検証・開発にも有用である. さらに実験的に二酸化炭素大気突入時の飛行環境を模擬するために極超音速衝撃波管を開発した.そして性能試験により本装置は地球大気圏突入から火星大気圏突入までの幅広い飛行環境を十分に模擬できる性能があることが明らかになり,次年度の研究目的達成のためには重要な研究成果であると考えられる. 以上から本年度得られた研究成果は研究目的を達成するために十分な進捗状況にあると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度開発した極超音速衝撃波管を用いて衝撃波背後の熱化学的非平衡領域の光学計測を実施する.また熱化学的非平衡領域の数値解析を実施するために炭素系ガス(CO2, CO, CN, C, O, e+ etc)を考慮した数値流体力学(CFD)計算コードの開発を行う.ここでCOの反応モデルにはDSMC-QCT解析から得られた最新の反応モデルを導入する.そして数値解析結果と光学計測結果を比較することで,数値解析で用いている熱化学反応モデルの検証と改善を実施してモデルの予測精度向上を目指していく. また衝撃波管で生成される気流は計測時間が非常に短く,対象とする反応によっては計測が困難な可能性も考えられる.そこでその対策としては,計測時間が長いアークプラズマ風洞を用いて気流の光学計測と数値解析を実施して熱化学反応モデルの検証と改善を実施していくことを計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としては,当初極超音速衝撃波管の開発の中で石英製観測窓の導入を計画していたが納期が大幅に遅れたために次年度に導入を変更したためである.よって次年度の研究費の使用計画に関しては,石英製観測窓の製作費,衝撃波管実験の消耗品(鉄製隔膜,試験気体),研究発表旅費(国内,国外)及び論文投稿料である.
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Research Products
(5 results)