2011 Fiscal Year Research-status Report
物体に干渉する超音速噴流から発生する非線形空力音響波のデータマイニングによる理解
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23760773
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
野々村 拓 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60547967)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 流体音響学 / データマイニング / 数値流体力学 / 超音速噴流 |
Research Abstract |
本年度は,計算コードの拡張および信頼性を確認した後,様々な角度を持った斜め平板に衝突する超音速噴流の流体場とそこから発生する音響波の非定常高解像度シミュレーションを行った.データマイニングでない従来手法による解析から,主観的ではあるが,どの平板角度でも以下の3種類の音響波;1)主流ジェットから発生するマッハ波2)衝突点から発生する音響波3)衝突後の平板に沿うせん断層から発生するマッハ波,が発生することがわかった.ただし平板角度の変化によって,これら3種類の音響波の強さが大きく変わることを明らかにした.この流れ場に対して,本研究の狙いであるデータマイニング手法を適用した.まず,自己組織化マップとK-means法を組み合わせた手法により,音響波の分類を行った.これにより,上記の主観的な音響波の分類が自動的に示唆されることが分かった.また,固有直交分解法を周波数領域で用いることで,わかりやすく分解が行えることを確認した上で,本手法から,音響波2)の発生原因がせん断層衝撃波干渉の可能性が高いことを示した.最後に,ターゲットの音響波と相互相関が高い場所をほぼ計算領域全域にわたってサーチし,動画を使って可視化する手法を提案した.本手法により,やはり,音響波2)の発生原因がせん断層衝撃波干渉にあることが示唆された.データマイニング用のデータ取得のために行う予定の超音速風洞試験は,本年度はより精度の高いデータを取るために風洞、試験設備の整備を行い,次年度以降のデータ取得の準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,当初計画通りに数値シミュレーションによる非定常流体音響場のデータ取得はほぼ終わっている.また,実験による非定常流体音響場のデータ取得に関しては若干遅れているが,実験準備がほぼ終わっており,次年度以降スムーズにデータが得られることが期待できる.データマイニング手法の適用に関しては,自己組織化マップ,K-means法,周波数領域での固有直交分解法,および「ほぼ計算領域全域にわたる相互相関係数の取得」,を試しており,これらの結果から音響波の自動的な分類,音源位置の特定に結びつけている.以上のことから,データマイニングの有効性を十分に示しており,研究が順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に高解像度非定常数値解析データの取得がほぼ終わっているため,24年度には,実実験による非定常流体音響場のデータ取得を行う.シュリーレン法とPSP法を主体に非定常流体音響場のデータを得る予定である.上記で得られた非定常流体音響場のデータに対して,データマイニングを行う.データマイニングに関しては,23年度に明らかにした手法である自己組織化マップ,K-means法,周波数領域での固有直交分解法,および「ほぼ計算領域全域にわたる相互相関係数の取得」を実験データに適用し,その有効性を確認する.さらに,数値解析データから,本研究の目的とする音源の強さ,指向性を抜き出すデータマイニング手法を提案して,これらの情報を明らかにする.これらの情報を抜き出すのは簡単ではないが,23年度で用いた手法を組み合わせることでこれを行う.23年度に得られた音源の位置,24年度に得る予定の音源強さ,指向性を明らかにすることで,音源のモデル化に繋げたい.この際,共同研究を行なっているNASAの研究者と議論を重ねることでこれを実現したい.またデータマイニングの有効性を学会発表等で示していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に行う予定だった実験は,風洞の実験精度が十分でないことがわかり,風洞の精度が出せるように改修を行なっていたため,23年度予定の実験模型の購入を次年度に移した.このため24年度に実験器具を購入し,非定常流体音響場のデータ取得を行う.実験のため,噴流が衝突する局面板の購入(30万円程度),光学系の実験器具の購入(10万円程度)を行い,シュリーレン法,およびPSP法による試験がスムーズに行えるようにする.これらの実験で大規模なデータが得られるため,それを保存するためのストレージを購入する(20万円程度).また23年度に行う予定だった共同研究者との議論は他の研究会議に合わせて行ったため,この旅費を24年度の海外出張にあて,国際会議で情報を集めると共に成果の一部を報告する予定である.(3回程度100万円程度).さらに共同研究先に訪れて議論をする予定である(40万円程度).その他,国内会議等で成果を発表する予定である.
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Research Products
(4 results)