2012 Fiscal Year Research-status Report
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23760781
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 光弘 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (00586191)
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Keywords | 新型錨 / 高把駐力 / 海難事故防止 / 錨性能評価法 / MPS法 / 模型実験 / 実海域実験 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度から引き続き文献調査および、既存の錨を用いた模型曵引実験を行い、既存の錨の性能をまとめた錨性能評価法の作成を行った。また、数値シミュレーションのためのモデル化の方法の検討を行った。平成24年度の研究業績の詳細は以下のようになっている。 研究開始~現在まで既存の文献の調査を続けている。これらの文献調査から、既存の錨の性能は主に水平曵引試験から得られる把駐力特性曲線および把駐係数によって評価されてきたことがわかった。しかし、実際の海域では水槽実験のような理想的な状態で錨が曵引されるとは限らない。それは走錨による船舶の事故が現代においても絶えることがないことからもわかる。よって、錨の性能の評価基準を見直す必要があると考えられるが、錨の性能を決定するための指針となる錨の評価法は既存の研究では具体的に示されてこなかった。そこで平成24年度は、これまで多く実施されてきた水平曵引試験,仰角曵引試験に加えて,スイッチバック試験,スイッチバック貫入試験,倒立試験といった5種類の試験項目に関する水槽曵引試験を行った。そして、評価項目として,把駐係数,最大把駐力到達距離,姿勢安定距離,爪の貫入の有無,再現性の5つを設定し、様々な観点から錨の性能を評価することができる錨性能評価法を作成した. 数値シミュレーションのためのモデル化の方法の検討については、過去の文献調査、模型錨による実験結果に基づいて、モデル化の必要のある底質影響および係留索影響のモデル化についての検討を現在行っている。平成24年度は係留索モデルにランプドマス法を用いることを試み、その適用性について検討を行っている。 平成24年度は数値シミュレーションを中心に研究を行っていく予定としていたが、過去の文献調査によって錨の評価方法そのものに問題点があることが明確となったため、それらの研究を優先的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度における研究目的は数値シミュレーション法の整備を除けばおおむね達成できている。しかし、本研究で作成した錨性能評価法はこれまでの錨に関する研究に比べて進歩的な研究成果であるとともに、本研究目的を達成するために重要な要素となるため、優先的に実施する価値があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は数値シミュレーション法を整備し、本数値シミュレーション法を用いた数値実験結果と水槽実験結果の比較・検討を中心に行っていく予定である。また、前年度に行った曳引実験のデータの整理および錨性能評価法の評価項目および評価基準の整理、さらに追加の実験を行う必要があれば追加実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は平成24年度の研究成果を学会等で公開することに努める予定である。また、本研究で作成した錨性能評価法および本年度整備する数値シミュレーション法に基づき、新型錨の形状を検討し、新型錨模型を作成する予定である。また、水槽および実海域における追加実験を予定しているため、そのための物品の購入、人件費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)