2011 Fiscal Year Research-status Report
外洋設置型柔軟構造体の数値シミュレーションに関する研究
Project/Area Number |
23760784
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末吉 誠 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80380533)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ランプドマス法 / GPGPU / 海洋工学 / 生簀 / 養殖 |
Research Abstract |
本年度は生簀の数値シミュレーションに用いる各種モデルの検討とともに、GPGPUの活用によって大規模計算を効率的に行うことを念頭に、情報収集・プログラムの試作などを行った。特に金網モデルについては現在実際の水産養殖現場で広く使われているが、その構造の複雑性からモデル化が難しい構造物である。これについて理論的な計算モデルの構築を目標として検討を行った。今次の研究では崩壊挙動までは想定していないため、破断後のことは考慮外として網目ごとに線形バネ、非線形バネを組み合わせて特殊なトラス状の構造で近似することでモデル化の検討を行った。樹脂網と周辺流場のモデル構築については既存の計算手法が使用できる可能性が高いので、次年度の実装の際にモデル化などは並行・継続して行うものとした。もう一つの重要な問題である計算の高速化については、GPUについてのハードウエア特性などの調査の結果、記憶領域使用の局所性活用が非常に重要であることが判明したため、分散メモリ環境が主に想定されているMPIを使用した既存の並列計算プログラムにそのまま新しいモデルを組み込むことは断念し、OpenCLを用いた異種プラットフォームへの移植性が高いプログラム記述方法でGPUを利用する高速計算プログラムを新たに作成することとした。なおMPIを用いたこれまでの数値計算プログラムは網の接続関係を含む初期データの自動生成に有効であるためこれ以降もプリプロセッサとして活用可能であり、各計算モジュールも新しいプログラムへも移植が可能な部分については積極的に活用するものとした。このため当初の予定より作業量が増加しているが、23年度の作業により任意の網形状データを入力し、ランプドマス法でGPU計算が可能な基本段階までは構築を行うことができた。これを次年度以降、新しく検討・構築した金網モデルなどの各種数値モデルを実装する基盤とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GPUの特性を調査した結果、記憶領域の局所性活用が高速計算に特に必要であることが判明したため、新規にプログラムのデータ構造を変更してプログラムを書き起こしたほうが効率的と判断したため、新しく使用するOpenCLの習得やその実際の記述や検証のため当初の予測より作業量が増大したことが当初予定より若干遅れている理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
OpenCLを使用して新規に作成した網地挙動解析プログラムのチューニングと、それに対する金網モデルの実装を中心に23年度の作業量増大をカバーするべく、引き続き作業を行う。なお当初計画から24年度は23年度の不足分を充当する予定であり、若干の遅れは回復可能であると考える。 また、計算結果の可視化なども考慮してプログラムの入出力部分の整備なども行うものとする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は申請時と比較して購入時に計算機価格がメーカーの販売促進キャンペーンなどで価格が大きく下がり安価になったことと、研究責任者が病気療養を行う必要があったため、動向調査をおこなう予定の出張を減らした結果旅費が予定額ほど使用されなかったことにより繰越金が発生した。24年度は当初計画よりGPUの価格が低下しているためGPU計算と可視化を兼用するワークステーションを繰越金により追加導入し、23年度導入機種と併せて計算試行をより多く効率的に実行可能な環境を整える。また、23年度同様、GPGPUに関する情報収集と併せて、海洋工学関連の情報を書籍類と研究会、シンポジウムなどに出席して収集し、数値シミュレーションプログラムの開発に生かすものとする。
|