2012 Fiscal Year Research-status Report
外洋設置型柔軟構造体の数値シミュレーションに関する研究
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23760784
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末吉 誠 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80380533)
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Keywords | ランプドマス法 / GPGPU / 海洋工学 / 生簀 / 養殖 / 海中ケーブル |
Research Abstract |
本年度は昨年度時点で検討された各種モデルについてOpenCLを用いた数値計算プログラムに組み入れることと、その入出力部分の整備が行われた。特に基本的で曲げ剛性を考慮する必要のある線状構造物に関してのモデルを第一に取り組みが行われた。このモデルは材料力学の基本式を離散化して陽解法向けに書き下したものである.しかし当初の離散化式を用いた場合、要素間の刻み幅をある程度小さくしなければ安定した計算ができないことが判明したため、計算時間や要素分割の観点から実用的ではなかったのでこれを取りやめ、新たに断面に生じる曲げモーメントが、離散化質点に加える力を表現する形式を考案することで解決を図った.しかしこれに関しても離散化点と圧縮・引張荷重のバランスなどでジグザグ上の空間的に数要素の短い周期の形状となった場合、曲率の補完計算の都合上復元力を失う場合が発生し、これを回避する形式を考案し実装した。最終的に考案された形式は、かなり荒い分割数でも荷重状態にしたがって梁理論にほぼ沿った曲げ変形形状を取ることが確認された。このことは長大な弾性ケーブル・チューブ類やフレキシブルなフレームといった将来的に大型の生簀施設などを構成する場合に重要な要素部品についてランプドマス法で計算する基礎となる。他に現状ではケーブル自由端部が存在する際にその自動判別を行って適切な条件を設定する機能など、汎用性を持たせる実際の作業と動的挙動に関する確認がまだ不十分な点である。 一方昨年度来進めてきたOpenCLによる実際のプログラム記述そのものについては入出力部分やソースコードそのものの改良がすすみ、新たなモデルを組み込んだ際の確認作業などを効率的におこなうことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の時点で検討していた使用予定の計算モデルの一つであり、特に重要な汎用モデルの曲げ剛性を含む線状構造物の取り扱いのアルゴリズムを実際に長大線状構造物に適用して試計算を行ったところ、数値計算上の各種の欠点が見つかったため、その改良に予想以上に時間がかかったことが第一の原因である。そして研究代表者を代表者として民間企業との共同研究などが年度中に新たに始まり、予定外に実質3か月間程度その実験準備・実施などで拘束されたため、前年度時点での遅れを回復する分の本研究に関するエフォートの配分が予定のとおりにはいかず、ソフトウエアの作成が完了しなかったことが第二の原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
23,24年度と全体的に遅れ気味であるため、前年度より本課題に関するエフォートを増やして研究を推進する。しかしながら、新規のモデルの取り扱いなどプログラミング上の取り扱いなどでの不具合も再び予想されるため、将来に発展可能な形で着実に基本的な確認を行いつつ開発作業を行うものとする。また現在の社会的要請として、水産養殖のみならず洋上風力発電や深海における海底資源開発でなどでケーブルやフレキシブルパイプなど、本研究で取り扱う予定である内容の一部である線状弾性構造物の需要と用途拡大が急激に大きくなることが予測されるため、進捗の具合によっては多様な素材に総花的なモデルを多種作成するのではなく、弾性線状構造物の曲げ・ねじりなどのモデル完成に注力を行って可能な限り実用的なモデルを作成することに優先度を置き、今後の応用・発展研究の礎となる成果を目指す。またこれらのモデル・プログラムの進捗状況にもよるが秋の日本船舶海洋工学会などで開発成果の発表を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度まででGPUの計算機環境が複数整ったので計算機などに代表される備品相当の物品の購入は行わない予定である。次年度使用額は計算機類の販売促進キャンペーンなどが適用されたために想定より安価に購入されたことなどにより生じたもので、25年度は主に海洋工学研究会、船舶海洋工学会などにおける情報収集や研究発表の旅費に充てるとともに、構築した計算機環境の改良に関わる諸費用、HDDなどの記録媒体の購入に主に使用する計画である。
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