2011 Fiscal Year Research-status Report
衝突海難に係るテキストからの認知行動プロセスの抽出および分析に関する研究
Project/Area Number |
23760789
|
Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 博子 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (70446590)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 海上輸送システム |
Research Abstract |
1) 海難審判裁決録における操船行動の表現に関する調査 ... 衝突海難に関する記録文の中から、事故に至るまでの操船者の認知行動プロセスに係る記述を抽出し、テキスト内で実際にどのように表現されているかを調べてきた。操船者の挙動や心的態度を表す動詞、助動詞表現のほか、これらの推移が分かるよう時刻に関連する表現や操船環境を表す表現等を抽出し、分類した。また、主語となる名詞や操船時の目標物の表記法等をまとめ、略語等に対応できるようにした。2) テキストからの時系列操船行動データ抽出プログラムの製作 ... 抽出した用語を元に、正規表現によるパターンマッチングを組み合わせて、時刻記述の解析結果と合わせて操船中の時系列の情報を抽出し、記録文における該当記述箇所を照合した上で、ハイライト表示等ができるようにした。この機能を20年分の衝突海難に適用し、操船行動における認知行動プロセスの時系列情報が抽出できることを確認した。3) 領域辞書の製作 ... 上述の正規表現によるパターンマッチングにより必要な情報が十分取得できることが判明したため、汎用の自然言語処理ツールを使用せずに機能を実装してきた。このため、領域辞書を使用していない。ただし、パターンマッチング等の対象となる必要な用語の蓄積は同様の方法で行っている。4) 抽出結果の確認 ... サンプリングした事例データに処理を適用して、結果とテキスト内容を照合することでプログラムの動作確認を行ってきた。現在、処理結果の評価中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
操船行動等の抽出の技術的な内容については、計画時に考えていた範囲内で処理精度が出そうである。サンプリングデータの仕分けなどで手作業が入る部分に関しては研究補助員の調達が難しかった分作業に遅れがでているが、今年度は実施できる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作成した処理プログラムによる処理結果を受けて、今年度は操船行動の系統化と類似事例群に対する衝突海難の種類による操船行動の実態等との関連を確認していく予定である。このため、以下のようなステップを踏む。1)時系列操船行動の類似度推定プログラムの製作時系列化した操船行動データに関し、ベクトル空間モデルを適用することで、ベクトル計算と用いた類似度推定を行えるようにする。これを用いて類似性の高い事例群をまとめることができる。2)類似事例群における操船の認知行動プロセスの衝突海難における要因の分析類似する事例群に対して、衝突海難の態様を分析して、事例群ごとの特徴的な要因があるかどうかを確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助員によるサンプリングデータの照合作業を実施するため、謝金と必要な機材の購入を行う。他に、各地の航路等に関する資料、処理プログラムでの表示に必要なライブラリ等を購入予定である。
|
Research Products
(1 results)