2011 Fiscal Year Research-status Report
バラスト水処理装置副生成物の船体構造安全性に与える影響に関する研究
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23760791
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
林原 仁志 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20511588)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 腐食防食 / バラストタンク / 塗膜劣化 / 塗膜下腐食 / 酸素濃度 |
Research Abstract |
生物殺滅にオゾンを使用するバラスト水処理装置について、バラスト水に注入される活性物質の濃度及び活性物質生成時に発生する副生成物(酸素ガス)濃度を文献及びヒアリングにより調査した。ヒアリング調査では、装置開発担当者の参加する展示会等に出向き、当該担当者より直接情報を得るなどした。また、オゾンと海水中の成分との反応による酸素の発生について調査し、バラスト水中に注入される最大の酸素ガス濃度を明らかにした。 完全置換条件を想定した数値解析により、バラストタンク内気層部の酸素濃度は約50%と予測される結果を得た。また、別途実験による評価を行うために先行事例調査を行ったところ、タンク内の対流現象はフルード数への依存性が大きいことが判明した。これを基に、実船と同程度のフルード数が実現可能な実験装置の設計・製作を行った。あるフルード数での実験の結果、バラストタンク内気層部の酸素濃度は約30%となり、数値解析結果よりも小さいという結果を得た。これには完全置換条件において考慮していない拡散の影響が含まれていると考えられるものの、実船の条件を包含する各フルード数で実験を実施し、酸素濃度とフルード数の関係を把握する必要があると考えた。 高酸素環境で実験が可能な塗膜劣化(腐食)促進試験装置について検討し、高酸素下で安全に運用するため、装置内の加熱を水を媒体とした伝熱管で行う型式とした。また、酸素濃度の高い環境(目的とする環境)と通常酸素濃度環境で実験結果が直接比較可能な様に装置の製作を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画中「2.バラストタンク内の副生成物濃度の検討」について、装置内の対流速度と、酸素ガスサンプル量との関係から、当初予定よりも酸素濃度評価タンクの容量を増大させる必要があることが分かった。このため、装置の再設計を行った。また、広範なフルード数で酸素濃度評価を行う必要があることが判明したため、本部分の実験完了がやや遅れている。このため、本酸素濃度を基に条件設定を行う「5.塗装鋼板による腐食促進実験及び評価」(24年度実施)の開始もやや遅れる見込みである。このため、全体として「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定よりも短期間の内に塗膜劣化度合いの評価を可能とするため、評価方法について予定のものに加えて新たな手法を調査・検討していく。これにより、最終的に研究目標を達成するように研究を実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実施計画の内、主として「4.バラストタンク内の副生成物濃度変化の検討」及び「5.塗装鋼板による腐食促進実験及び評価」に要する機材及び試験片等について仕様検討及び調達を行う。
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