2012 Fiscal Year Annual Research Report
バラスト水処理装置副生成物の船体構造安全性に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
23760791
|
Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
林原 仁志 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20511588)
|
Keywords | 腐食防食 / バラストタンク / 塗膜劣化 / 塗膜下腐食 / 酸素濃度 |
Research Abstract |
バラスト水条約が発効した場合、船舶が排出するバラスト水に含まれる水生生物及び細菌の個体数は、条約の定める基準以下に処理した後に排出することが義務づけられる。バラスト水処理の目的で船舶にバラスト水処理システム(BWTS)が設置される。オゾンを使用するBWTS は優れた殺滅能力を持つが、オゾンに変換されなかった酸素ガスが同時にバラスト水に混入し、バラストタンク内の上部空間が通常に比べて高酸素濃度環境となる可能性が考えられる。本研究では、この酸素濃度の予測及び高酸素濃度環境が船体腐食に長期的に及ぼす影響について検討する。 文献調査等を元に、オゾンと共にバラスト水に注入される酸素ガス量を設定し、バラスト水注入直後のタンク内気相部酸素濃度を計算及び模型実験により予測した。バラストタンクの気相部割合が全容積の5%の場合、完全置換を想定した条件では気相部酸素濃度が最大で約50%となる結果を得た。同条件で模型実験を行った場合、実船に対応するフルード数の元では気相部の酸素濃度は約30%であった。水の注入に伴って発生する気体の対流により高酸素濃度の注入ガスとタンク内の空気との混合が行われ、完全置換の条件よりも酸素濃度が小さくなったと推察する。ただし、実験ではタンクに注入される気泡が粗大化したためより気泡を微細化した条件での検討も必要と考える。 通常酸素濃度及び酸素濃度30%において、塗装鋼板の劣化及び腐食に及ぼす影響を比較した。温度70℃の湿潤環境における約65日間の劣化促進試験後に塗膜の電気化学インピーダンス計測及びスクライブからの剥離幅により比較を行った結果では、通常酸素濃度環境及び酸素濃度30%環境の間に明瞭な差異は認めなかった。
|
Research Products
(1 results)