2012 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレーション法による光・熱化学反応制御とエネルギー蓄積媒体の開発
Project/Area Number |
23760792
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Research Institution | 公益財団法人レーザー技術総合研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 雄二 公益財団法人レーザー技術総合研究所, レーザー技術開発室, 研究員 (40422547)
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Keywords | エネルギー蓄積材料 / レーザー / ナトリウム / マグネシウム |
Research Abstract |
自然エネルギーを持続的に使用するために、エネルギー蓄積媒体の開発が求められている。当該研究では、エネルギー蓄積媒体として金属元素に着目し、エネルギー蓄積の比較検討を行った。まず、地殻中に8番目に多く、エネルギー密度が25[MJ/kg]と石炭の30[MJ/kg]に匹敵するマグネシウムを用いた。金属酸化物である酸化マグネシウムに赤外線レーザー(CO2レーザー:波長[10.6μm]、ダイオードレーザー:波長0.8[μm])を集光照射すると、酸化マグネシウムは酸素と熱乖離して約4000Kの蒸気となって噴出する。しかし、単離したマグネシウム蒸気は冷却過程で酸素と再結合して酸化マグネシウムに戻ってしまう事が問題であった。そこで、酸素固定材としてシリコン、ジルコニウム、炭素を酸化マグネシウムに含有させてレーザーを照射した。その結果、還元剤無では、0.25[mg/kJ]、還元剤にシリコン、ジルコニウム、炭素を含有した試料では、還元効率は12.1 [mg/kJ]、60 [mg/kJ] 、5.2 [mg/kJ]となり、従来の精錬法であるピジョン法の精錬効率よりも高くなった。これはシリコンやジルコニウムを用いた場合には、SiO2やZrO2が副生成物となり酸素が安定化されるが、炭素の場合ではCO2ガスが生成され、再びマグネシウムを再酸化してしまう事に起因する。 次に地殻中の賦存量が7番目に多く、エネルギー密度が18 [MJ/kg]であるナトリウムに着目した。ナトリウムは常温で酸素と反応し、精錬効率は電解法で111[mg/kJ]である。ナトリウムは、マグネシウム同様水と反応して水素を生成出来るが、ナトリウムが常温で水素を発生させるが、マグネシウムは450℃以上の温度を要する。そのため、エネルギー発生法と蓄積法(精錬法)を鑑みて、ナトリウムの方がエネルギー蓄積材料として適した金属元素であると結論付けた。
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