2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760801
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Research Institution | 防衛大学校 |
Principal Investigator |
宮崎 尚 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 助教 (30531991)
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Keywords | 化合物薄膜太陽電池 / リサイクル / CuInSe2 |
Research Abstract |
一般的な太陽電池の場合、経年劣化による破損の中で最も多いのは、電極および配線部分の劣化である。近年市場に投入されたCuInSe2(CIS)系太陽電池は、単元素であるシリコンとは異なり、化合物特有のハードルが多数存在する。 本研究では、CIS系材料にGaを添加したCu(InGa)Se2(CIGS)系薄膜をもちい、そのリサイクル方法として、基板からCIGS薄膜を剥離する方法の模索とその粉末を用いて、再度太陽電池用光吸収層に利用可能であるかを検討した。はじめに変換効率約15%程度のものの表面電極および窓層である酸化亜鉛を希塩酸で除去し、その後、機械的に裏面電極であるモリブデンからCIGS薄膜を除去した。比較のために、遊星ボールミル法で作製したCIGS粉末を出発原料としたCIGS薄膜の蒸着も同時に行った。 剥離前のCIGS薄膜は粒径約1.5 μmと典型的な大きさであったが、再蒸着することによって、粒径が約200 nm程度にまで減少した。また、表面に異相が存在することが確認され、Cu-Se系化合物(In及びGa組成が低いもの)であった。遊星ボールミル法で作製したCIGS粉末を原料として用いた場合の方が、異相が多く存在し、表面に存在する欠陥の多寡が異相生成に関係あることが示唆された。ラマンスペクトルから、蒸着時のSeの分圧が光学特性に非常に大きな影響を与えていることが確認された。これは、Seの蒸発が起っていること、及び粒同士の融着にSeが関与している可能性が示唆された点で、非常に興味深い。同様の観点から、Cu2ZnSnS4(CZTS)の実験も行い、類似の結果を得た。ただし、CZTS薄膜の場合、スプレー法で作製したため初期の結晶性が悪く、また、組成のずれもあり、さらなる研究が必要である。 これらの結果から、再蒸着させても結晶性が劣化せず、化合物のまま再利用できることがわかった。
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