2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノレベル表面構造解析による照射下微小き裂発生機構解明と予兆検知・対策技術の開発
Project/Area Number |
23760803
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野上 修平 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00431528)
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Keywords | 低放射化フェライト鋼 / 溶接部 / 疲労 / 照射損傷 / 微小き裂発生 / 表面構造 |
Research Abstract |
低放射化フェライト鋼とその溶接部を対象に、照射と疲労負荷による表面構造変化と微小き裂発生の機構に関する学理を究明し、微小き裂発生の予兆検知に適用可能な指標の開発と、発生寿命延伸のための対策技術の構築を目的として実施した結果、以下の知見を得た。 (1)非照射材では、寿命の約20%においてき裂発生が確認された。発生サイトは旧オーステナイト粒界、パケット境界、ブロック境界、ブロック内部の下部構造に区分され、発生割合としては結晶粒内の各部位が90%以上を占めた。これより、発生サイトは組織中の特定の部位には限定されないことが明らかになった。(23~24年度) (2)イオン照射材では、非照射材のき裂発生繰返し数の約50%においてき裂発生が確認された。発生サイトは非照射材と変わりはなく、割合も同等であった。これより、照射損傷により発生サイトやその割合は変化しないが、発生は促進されることが明らかになった。この要因として、はじき出し損傷により照射硬化が生じ、結晶粒内において不均一変形が発現したことが主として考えられた。(23~24年度) (3)電子ビーム溶接材について評価した結果、溶接部は溶金部、粗粒熱影響部、細粒熱影響部、過熱影響部、母材に区分され、疲労下において最もひずみの集中する過熱影響部と細粒熱影響部の境界においてき裂発生が確認された。発生サイトなどの分析の結果、溶接材においても基本的なき裂発生機構は母材と同等であることが示唆された。(24~25年度) (4)低放射化フェライト鋼では、表面構造変化が主たるき裂発生要因ではないことが示唆された。これに基づき寿命延伸対策技術について検討した結果、旧オーステナイト粒界による疲労き裂成長の抑制効果が見出された。よって、結晶粒径最適化と粒界存在確率の調整により、粒径を超える微小き裂の発生が抑制できる可能性が示された。(25年度)
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Research Products
(2 results)