2013 Fiscal Year Annual Research Report
析出物/マトリックス界面構造制御による点欠陥消滅促進の機構論的解明
Project/Area Number |
23760804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 賢彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30375109)
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Keywords | 転位ループ / 照射 / 析出物 / 銅合金 / 界面 / シンク |
Research Abstract |
析出物/マトリックス界面の点欠陥に対するシンク効果を調べる為に、当初計画していたCu-Cr-Zr {Cu-0.9Cr-0.14Zr (wt.%)}合金とCu-Cr{Cu-0.9 (wt.%)}合金について加速器を用いた重イオン照射と超高圧電子顕微鏡によるその場観察を実施した。二段階熱時効(1233 K, 1 h後703 K, 4 h)してCrリッチ析出物を導入した試料を2.4 MeV のCu2+ イオンで673 K, 10 dpa まで照射したが両合金ともボイドは形成されなかった。次に二段階熱時効後にCu-Cr-Zrについては873 K, 4 h、 Cu-Crについては873 K, 1 h過時効しCrリッチ析出物を平均直径5 nm以上に粗大化した試料について、室温、373 K, 473 K, 673 Kの温度で 加速電圧1250 kV、照射量2 dpa(損傷速度1 ×10‐3 dpa/s)までの電子線照射その場観察を行った結果、両合金で室温から473 Kで主に格子間型の転位ループが形成された。Cu-Cr合金の473 K照射では、ループの核生成は特定の析出物/マトリックス界面(数%程度の析出物)のみで起こることが見出された。673 Kでは重イオン照射同様、転位ループもボイドも形成されなかった。Cu-Cr中のCr析出物は、マトリックスとK-SもしくはN-Wの方位関係をとることは知られているが、個々の析出物寸法や形状によってはシンク効果の低い界面が形成され、その場合はその領域を核生成サイトとして比較的低温では転位ループが形成されるが、空孔のモビリティーが十分高い温度では、界面が強いニュートラルシンクとして働き点欠陥集合体の形成を強く抑制することが示唆された。
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Research Products
(6 results)