2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760813
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
安原 亮 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30394290)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | トムソン散乱計測 / マルチパス / 共振器 / 大出力レーザー |
Research Abstract |
大出力レーザー技術を応用した、リング共振器型レーザー散乱装置を核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)を用いて実証することを目的とする。これによりレーザートムソン散乱計測装置の時間分解能をサブミリ秒へ短縮し、測定可能温度領域を20keV以上の高温度領域へと拡大する。また散乱信号強度増加により測定精度を向上させる。このようなレーザー散乱計測装置高性能化により、LHDプラズマを始めとした環状プラズマ物理の総合理解に寄与するとともに産業用、民生用等の多くのプラズマの電子温度・電子密度計測への応用が期待できる。 本年度は、リング共振器型レーザー散乱装置の予備実験として、筑波大学において、直線共振器によるレーザー散乱装置を開発した。直線共振器によるレーザー散乱装置は、本提案のリング共振器部を直線型の共振器に置き換えたものである。プラズマ媒質を複数回プローブレーザー光が通過し、複数回の散乱光が得られるという意味において本質的に同じ効果が期待できる。 像転送光学系と偏光光学系による直線型共振器を光学伝搬解析、偏光解析を用いて設計し、筑波大学のGAMMA10装置に光学系を設置した。本年度の実験で、すでにレーザー光を2回往復してプラズマから散乱光を発生させることに成功しており、約2倍の散乱光量の増加を確認している。これは計算によって算出した散乱光量の増加とほぼ等しい。 平成24年度は本装置の3パス以上への多バス化とLHDへの導入検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、リング共振器型レーザー散乱装置の予備実験として、筑波大学において、直線共振器によるレーザー散乱装置を開発した。直線共振器によるレーザー散乱装置は、本提案のリング共振器部を直線型の共振器に置き換えたものである。プラズマ媒質を複数回プローブレーザー光が通過し、複数回の散乱光が得られるという意味において本質的に同じ効果が期待できる。 像転送光学系と偏光光学系による直線型共振器を光学伝搬解析、偏光解析を用いて設計し、筑波大学のGAMMA10装置に光学系を設置した。本年度の実験で、すでにレーザー光を2回往復してプラズマから散乱光を発生させることに成功しており、約2倍の散乱光量の増加を確認している。これは計算によって算出した散乱光量の増加とほぼ等しい。 現在までに共振器構造を実際のトムソン散乱システムに導入することに成功している。またGAMMA10装置によって当初の計画の共振器を用いた散乱光量の増加という目的を達成している。このように新たな計測システムの開発という第一目標はほぼ達成しており、今後は実際に大型ヘリカル装置(LHD)への導入を目標に研究を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、共振器構造をもつマルチパス光学系をLHDレーザー散乱計測装置へ実装することを第一目標とする。7月末までに光学システムの設置を終え,LHDに組み付けた状態で試験可能な状態にする。9月に始まるプラズマ実験までにGAMMA10で行った試験をLHD本体に組み付けた状態で再現し、動作を確認する。LHDは全体スケジュールの管理の下で実験準備が行われるため、これに従って進めていく。10月からのプラズマ実験ではリング共振器方式の予備実験・確立と受光系、データ収集系の調整が主な内容になる。受光系の問題でデータ収集が困難な場合は、合計100測定点以上あるLHDレーザー散乱装置の受光系の一部ポリクロメーターの改造やアバランシェフォトダイオードのタイミング調整等を行い、散乱光の発生を確認する。光学系に改良が必要な場合はプラズマ実験終了直後から取りかかる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、共振器構造をもつマルチパス光学系をLHDレーザー散乱計測装置へ実装することを第一目標とするため、それに伴った光学部品、消耗品の購入を行う。消耗品として、干渉フィルター、合成石英基板、電気回路部品、真空部品、光学素子の購入を計画している。設備備品としては、制御用PCおよびデータロガーの購入を検討している。研究成果の発表および情報収集のためHTPD19(米国、モントレー)、応用物理学会(愛媛)、レーザーセラミックシンポジウム(ロシア)への参加を計画している。またその他論文の投稿のために予算を使用する予定である。
|